2013冬期Ⅰ期『青木邦容のハイレベル現代文』第3講川勝平太『「美の文明」をつくる』復習教材&補足解説

問題1次の文章=要約の空欄に当てはまる表現をテキスト本文中から抜き出して書け。

文化と経済とは対立的に考えられがちだが、経済が生産と消費、供給と需要、販売と購入とからなり、生産・供給・販売は、文化としての( 1 )である消費・需要・購入に従属すると言える点で、経済は文化に従属する。その文化は遍在し、それが他地域から憧れられて、取り入れられ普及すると、その地域の文化は文明になる。そうした文明は、文化と異なり偏在し、興亡し、また移動する。文化が中心性と普遍性を備えると、文明になる点で文明の基礎には文化があると言える。近代文明は資本主義として勃興したが、その出生には、( 2 )に見られる禁欲や、世俗的贅沢、あるいはアジア地域の文化への憧れといった、( 3 )要因があった。特に大航海時代前後においては、黒死病に生命の危機を募らせたヨーロッパは、アジアに胡椒・香辛料を求め、また東南アジアは多文化交流の坩堝であり、ヨーロッパ諸国は東方の物産、特に木綿に魅惑され、やがてそれが経済的理由から買えなくなると、自分達で作りだした。後に産業革命の主軸になるのが木綿産業であるが、その点でまさに文化革命が主導して産業革命が後を追いかけたと言える。こうしてヨーロッパ人の生活危機、宗教意識、またアジアの文明への憧れが、ヨーロッパに人類最初の経済文明をもたらしたのである。

問題2 76行目~77行目「西洋資本主義~説明しておこう」とあるが、これを説明することで、筆者は最終的に何を強調したかったのか。次の空欄に当てはまる形で11字以内の表現を本文から抜き出せ。

(        )ことを強調したいから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》

問題1

1.生活様式

2.プロテスタンティズム

3.非経済的・文化的

問題2

文化が文明の基礎である

 

【補足解説-問4】

4番の選択肢がなぜだめなのかという質問をもらった。まず対比の法則で「本文にない対比が選択肢に作られている場合はペケの法則」を思い出して欲しい。

本文における文化と文明の対比は-

文化ー遍在・永続 VS 文明-偏在・興亡(長続きはするが、移動)

である。しかし4の選択肢は-

文化は「どこにでも」「常に」存在 VS 文明は「一部の地域」に「長期」にわたって存在

となっており、本文にはない「常に」VS「長期」という対比を持つ。ここは少なくとも「永続」VS「興亡」(「長期」)でないといけない。したがって4は不正解。また講義でも言ったが、「他地域に影響を及ぼす」のではなく「(ある文化が)普及」すると「文明」になる。