2019第1学期青木の『医系小論文』Medical☆King№7《EXERCISE》問題と解答

①「すべての人々が適切な予防、治療、リハビリ、緩和ケア等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」と定義される、2018に引き続き2019も世界保健デーのテーマになった重要課題を何と言うか。

 

 

 

A:Universal health coverage (UHC)

「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:誰もがどこでも保健医療を受けられる社会に」(Universal Health Coverage: everyone, everywhere)

(参考)ちなみにそのスローガンは

スローガン :「すべての人に健康を」(Health for All)

 

②1947年から1949年頃に生じた「第一次ベビーブーム」に生まれた、日本の人口のボリュームゾーンを形成してきた(参考:出生数8,057,054人/2000年時の存命数は6,906720人)世代が、75歳以上になり、人口のおよそ5人に1人が75歳以上になる状況に伴い医療や介護など、社会保障分野で必要な費用が急増し、国の財政を一層圧迫する恐れがあるとされている問題を何と言うか。

 

 

 

 

A:2025年問題

 

③空欄に適切な数字を入れよ。

昨年までの統計では、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合(高齢化率)は約(  )%、3557万人で、いずれも過去最高を更新している。高齢化率は前年より0・4ポイント高くなり、高齢者数は44万人増え、比較可能な1950年以降伸び続けている。総人口は少子化などの影響で27万人減の1億2642万人となった。国全体の高齢化率は、先進国の方が高く、発展途上国の方が低くなる傾向がある。高齢化率が高い国としては、スウェーデン、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ合衆国などが挙げられるが、これらのどの国よりも、日本の高齢化率は高い。日本は、1970年に「高齢化社会」に突入した。その後も高齢化率は急激に上昇し、1994年に高齢社会、2007年に超高齢社会へと突入したと考えられている。(  )歳以上の人口の全人口に対する比率を「高齢化率」と言うが、高齢化率(  )%以上を高齢化社会、( )%以上を高齢社会、そして(  )%以上を超高齢社会と呼ぶ。

 

 

 

A:(順に)28 65 7 14 21

 

④妊婦の血液中に含まれる胎児のDNA断片を分析することで、胎児の特定の染色体疾患を調べることができる、「無侵襲的出生前遺伝学的検査」と呼ばれる検査で、昨今、日本産科婦人科学会(日産婦)が定めたガイドラインに従わない検査が横行していることから、厚生労働省が検討会を設置することになった検査の通称を何と言うか。

 

 

 

A:新型出生前検査(NIPT)

(参考)正式には無侵襲的出生前遺伝学的検査。NIPTはnon-invasive prenatal genetic testingの略。

☆以下空欄に当てはまる表現を答えよ。

⑤2019年、政府は薬の費用対効果を評価する新たな制度を導入する。高齢化の進展やさらなる高額薬の承認が見込まれる中、膨張する医療費を抑制するのが狙いだ。だが、社会保障制度の維持を大義に、政府が薬剤費を狙い撃ちにすることへの業界の反発は根強い。企業の開発意欲を損なわず、国全体の経済成長につなげる好循環を構築できるかが課題となる。日本の医療費は増加の一途をたどる。高齢化に加え、医療の高度化に伴って薬や医療機器の価格が上昇していることが背景にある。政府が昨年示した試算では、2040年度は68.5兆円と、18年度比で約75%増える見通しとなっている。そこで政府は、「増分費用効果比」(ICER)という、英国などでも用いられている新薬の費用対効果を測る制度を導入する。健康な1年を生きるのに、既存薬と比べてどの程度の追加費用がかかるかを測定し、分析結果によって薬価を上下に調整するというものだ。現在は、安全性や有効性が確認されれば、その薬は原則として保険適用されることになるが、制度導入後、「費用対効果が低い」ことを理由に保険適用されないことになれば、薬へのアクセス制限にもつながるという問題が指摘されている。

超高額薬でも患者の負担は抑えられる。公的医療保険は患者の窓口負担が現役世代で3割であり、これに加え医療費の負担が重くなりすぎないよう1カ月あたりの自己負担の上限を定めた(  )制度がある。

 

 

 

 

A:高額療養費制度

 

☆以下空欄に当てはまる表現を答えよ。

⑥厚生労働省の発表では日本人の死因の1位は(  )2位は(  )3位は(  )4位は(  )である。日本人の死因1位の癌だが、部位別で最も多かったがんは(  )で、胃、肺が続く。男性は(  )がトップで前立腺が2位、大腸が3位だった。女性の最多は(  )で大腸、胃と続く。しかも罹患状況が地域によって異なることがわかってきている。例えば胃がんの人口10万人あたりの罹患率は新潟74.7、秋田70.3、山形63.2など、東北地方や日本海側を中心とした地域が全国平均(48.2)を上回る。こうした差が生じる原因としては、たとえば胃癌の場合、(  )菌の保有状況などが関係しているとみられている。

 

 

 

A:(順に) 悪性新生物(腫瘍) 心疾患(高血圧性を除く) 老衰 脳血管疾患 大腸 胃 乳房 ピロリ

 

☆以下空欄に当てはまる表現を答えよ。

⑦日本の医療の問題点として( X )が挙げられている。( X )は先進国の共通課題だが、中でも日本では検査や検診の過剰が深刻である。経済協力開発機構(OECD)加盟各国中でも、日本のCT、MRIの台数は圧倒的であり、人口100万人当たりの機器台数は両者とも加盟国中トップに立っている。実は日本の外来診療は検査をするだけ収入が増す出来高払いとなっており、病院経営者からすれば、こうした高額な機器を入れた以上、稼働率を上げようとなりがちだ。過剰検査の弊害は患者本人の不利益にとどまらない。検査が重なると、本当に必要な検査が後回しになったり、重要な指摘を見落としたりしかねない。また風邪に抗生物質を処方するようなのも( X )の典型例だ。ほとんどの風邪には抗菌薬(抗生物質)が効かないことは、医者の間では常識だ。風邪の原因の9割はウイルス感染症とされるが、細菌に効き感染症の治療にかかせない薬である抗生物質はウイルスにはそもそも効かない。抗生物質の多用が続くと、薬が効かない(  )の広がりにつながりかねない。厚生労働省は2017年、漸く重い腰を上げ、抗生物質の適正使用の手引を作成した。細菌感染が疑われる重症のときに使用を限り、軽い風邪や下痢には用いないよう勧めている。

 

 

 

A:X過剰医療 耐性菌

 

☆以下空欄に当てはまる表現を答えよ。

⑧日本の国民医療費は約(  )兆円。高齢化が進み、10年余りで10兆円増加した。高額薬の開発も医療費の膨張に拍車をかける。抗がん剤は、医療医薬品の最大市場で、2017年度の国内売上高は1兆円を超えるという。C型肝炎の特効薬「ハーボニー」や「ソバルディ」、がん治療薬の「オプジーボ」など保険適用される高額薬剤が年々増えていることが医療費増加の一因だが、最大の要因は(  )の進展だろう。概算医療費のうち後期高齢者医療の対象となる75歳以上の費用は、前年度比6800億円増の16兆円となった。医療費増加分の(  )超は、75歳以上医療費の増加に起因する。

 

 

 

 

A:42 高齢化 70%