2014第1学期『センター現代文』第7講(問題番号は6)大橋良介『「考える葦」の場合』要約&復習問題&漢字解答

【問1】

(ア)              疎外 ➀疎 ②訴 ③組 ④阻 ⑤礎

(イ)              環境 ➀響 ②競 ③鏡 ④境 ⑤驚

(ウ)              示唆 ➀作 ②鎖 ③射 ④左 ⑤唆

(エ)              所産 ➀書 ②暑 ③所 ④緒 ⑤初

(オ)              膨張 ➀紡 ②膨 ③傍 ④妨 ⑤望

 

【要約】

パスカルは人間を「考える葦」と言い、「葦」に喩えたが、その理由に関しては「自然の中で一番弱い葦」という言い方をしたところにヒントがある。実際の葦は、群生しており、またその大きさ、繁殖力から言っても決して「弱い」と表現できるものではない。実はパスカルが表現したのは「一本の葦」である。ならばどうしてそれが人間の「考える」行為と結びつくのか。それは人間が漏れなく、考える際にはどこまでも自分一人に戻って、自分の内面で考えるしかないからである。人間は、こうして自分の内面に戻ることで死すべき者としての絶対の有限性に直面する。そしてそうした人間の思惟は、人間存在の本質でもある。人間は宇宙と異なり「死ぬことを知っている」。またその自覚があるからこそ、宗教や社会や歴史を形作ることができたとも言える。宇宙が死ぬことを知らないのは考えないからである。その点で人間だけが考える存在であり、考えることで宇宙を自らの思考で包み込むことも可能である。一本の葦が、ちょうど生存の宇宙的諸条件の全てを内に映し、包み込んでいるように「考える葦」である人間は、その本質である思惟を介して、自らの中に様々なものを映し、包み込んでいる。ここにもパスカルの巧みな比喩性が見られる。またこのように人間の思惟は、その働きの中で全てではなくとも宇宙を包み込んでいる点で、宇宙の働きの一つがそこにあるとも言える。

 

【復習問題】テキスト52~54行目『「死ぬ」ということについて人間が自覚するということは、人間がただ一人という存在にもどることであり、同時にこの自覚を通して、他の死すべき存在と結びつくところである』とあるが、どうして『「死ぬ」ということについて人間が自覚するということ』が「他の死すべき存在と結びつく」ことにつながるのか。その説明として適当なものを次の①~⑤中から選べ。(㊟解答は最下段)

 

➀ 考えるということは、自分の内面に戻って死すべき者としての絶対の有限性に直面することであり、その思惟を介して人間が、そうした運命的な孤独感に耐えられなくなるから。

② 考えることで、人間は自分の内面で、自らの死すべき者としての絶対の有限性に直面するが、その有限性の自覚を通して、お互いが同じ存在として共同する必要性を意識するから。

③ 考えることで一人に戻ることになる人間は、自らが究極的には孤独な存在であることを思い知らされ、現実の世界で触れ合う人間同士の関係が、虚構のように感じられるから。

④ 考える作業は、どこまでも自分で考える作業に他ならず、自分一人になるという側面を持っている以上、その他の場面では、その反動として人間同士の触れ合いなどを求めるから。

⑤ 人間は考えることで、宗教や社会や歴史を形作ってきており、それを今後も継続していくためには、人間存在の本質として思惟を続け、共同体の成員が協力していく必要があるから。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】②