2013第1学期『現代文読解』第12講分高階秀爾『日本近代の美意識』&岩井克人『「瓶の妖鬼」を読む』要約と記述解答

高階秀爾「日本近代の美意識」

【要約】「美しさ」の発見とは言うものの、これはそれまで誰も気付かなかった対象の持つ属性を見つけ出すことではなく、対象を「美しい」と感じる一人一人の心の中に、思いもかけず見いだされるある種の実感のことである。

岩井克人「『瓶の妖鬼』を読む」

【要約】スティーヴンスンの『瓶の妖鬼』に登場する、小鬼の住む小瓶は、「貨幣」の象徴として読むことが出来る。それは、小瓶が貨幣同様に何でも叶えてくれるからだけではない。貨幣も小瓶もまさに、相手を犠牲にして、交換を成立させるからである。貨幣も小瓶も誰かがそれを受け取ってくれる限りで、交換が成立するが、それはまた相手を手段として自分の願望を叶える行為でもある。しかしこの貨幣の論理を超越した倫理的な交換がある。愛と呼ばれるそれは、自分を犠牲にして相手を救おうとするものである。

問6 二人が自らの魂を犠牲にしても、互いの魂を救おうとしたこと。