2015夏期『青木邦容の基礎→標準現代文』【補問】塩沢由典「人はなぜ習慣的に行動するのか」要約&補充問題

【要約】

人間の行動は、遺伝的にプログラムされている度合いが少ないにも関わらず多くの場合、習慣的に行動する。それは注意と思考の節約のためであると言われる。注意は情報を選別的に入手することであるが、偶然に有利な情報を聞き分けるのは難しい。したがって人間はどの信号に注意するかを経験に依存するのである。信頼性条件を満たす信号はたくさんあるに違いないが、その中で人間がいくつかの信号にだけ注意するのは、聞き分け能力や合理性の限界のためである。人間の記号処理能力には限度があるため、信号が多すぎるとそれを適切な行動決定に活かすことはできないのだ。その点で言えば、注意という心理作用は妥当なものと言える。しかもいつ、どの信号に注意すべきかは、経験の中で学習され習慣化されていくものなのだ。このように習慣的行動には学習と試行錯誤に基づく大変な知恵が隠されている。われわれの行動の多くは、こうした習慣的行動、つまり固定化された半自動的諸動作のプログラムからなっている。人間の世界認識や認識を行動に結び付ける際の演繹能力に限界がある以上、多数の目的を持った多数の行動を適当に組み合わせて、われわれは行動するしかない。ある課題を解決する行動は、このように諸動作の系列としの習慣的行動であり、それは課題に対する実行可能解である。これによってわれわれは、自らの行動世界を拡大できるのだ。

 

《復習問題》

テキスト本文二行目、「注意と思考の節約」とあるが、どうして人間は行動を決定する多くの場合に「注意と思考の節約」をするのか。その理由として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ(㊟解答は最下段。スクロールして確認のこと)。

 

①    世界に存在する数限りのない信号の中から、信頼性条件を満たすものを可能な限り多く察知し、そこから得られた情報を上手く処理した上で、その多様性を生かした行動を創造するため。

②    ある信号が、その注意にも関わらず、結局的に結論にひびかなかったり、ひびいてもその影響が軽微で終わったりして、良い結果をもたらす利得が得られない状況を可能な限り回避するため。 

③    人間の聞き分け能力やその記号処理の能力の限度から引き起こされる行動決定の不適切さを避けたり、またより重要な案件や新規の案件に時間を掛けることを可能にするため。

④    元来、人間が適切な行動を行うためには、多くの信号を聞き分けることよりも、むしろ少数の選ばれた信号に注意する方がいいということが、伝統的に経済学者などによって証明されているから。

⑤   人間が、数多くの信頼性条件を満たす信号に注意した場合、その聞き分け能力の限界から自らの利得にならない信号を選ぶ場合もあり、それを上手く処理しても適切な行動に結び付けられないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》

 ③(②は「注意の節約」を行う理由ではではなく、「注意」する理由なので×。)