2014第1学期『青木邦容の現代文』第7講保坂和志「世界のはじまりの存在論」要約&復習問題

【要約】

構造主義は言語を“完成されたもの”と考え、たんに“差異の体系”として人間に与えられたものとしたが、そもそも人間の肉体という基盤がなければ、言語は発生しなかったし、人間のものにもならなかった。その点で言語には、肉体や存在することのリアリティが息づいており、それを発見し直す必要がある。人間にも動物のような、言語に先行することのリアリティがあり、その意味で自然との連絡を一切無くしたという構造主義的な思考は、科学性を欠いた迷信や独断である。現にわれわれ人間は、自然も、恋愛対象も、そして親子関係そのものも、“差異の体系”の外にあることを、言語的な認識力や理解力以前に認識している。その点でも人間の肉体が言語に先行して存在したことは明らかであり、それこそが肝心なことなのである。

【復習問題】

次の中➀~④の中から「差異の体系」を説明したものとして適当なものを選べ。(解答は最下段)

 ➀実存とは、他の誰かと置き換えることのできない、かけがえのない自分自身であるが、そのような存在が可能なのは、各々の人間の価値を認めることのできる神との関係でしかあり得ない。

②現実の言語活動では、辞書に載っているような意味が既に決まってしまっている言語を使っているわけではなく、言語は他人との関係の中で、その都度、使用者の思惑を超えて意味が決まっていくものである。

③われわれ人間は、言葉を使用する際に、その言葉の意味の中に、他の言葉や意味を思い浮かべることで、その元の言葉の意味を理解する。

④言葉というものは、すでに客観的に存在する事物の秩序に、わたしたちが記号によって名前をつけていったものではなく、むしろ、そうした事物の秩序は、人間が言葉によって恣意的に編み上げたものである。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】④