【O】迷惑とは、読んで字のごとく「迷い惑う」ことであり、一般的には他者の行為などによって自分自身が「迷い惑う」、つまりどうして良いか分からなくなる状態を指す。とりわけ現代社会においては、直接的な人間関係に見られるそれだけでなく、インターネットの発達により、SNS等における迷惑行為も社会問題化してきており、深刻さの度合いも増してきているようだ。
【M】以上のようなことから、やはり「人に迷惑をかけてはいけない」という社会通念は、今も変わらず有効のように思える。しかし私はお互いが迷惑を掛け合えるような世の中も良いのではないかと考えている。【E】もちろん、人の生活を脅かすような、例えば反社会的な迷惑行為を肯定しようというわけではない。【ON】ただ人間関係が稀薄化した現代社会では、互い迷惑を掛け合い、それを許す経験を通して、互いの存在に感謝するような機会があった方が、特に地域の人間関係が緊密なものになるのではないかと考えている。
【別解―short Ver.―】
一般的には「人に迷惑をかけてはいけない」と言われるが、私は、人間関係が稀薄化し、高齢化した現代社会では、故意にではなくても、かえって互いに迷惑を掛け合えるような関係であることの方が望ましいと考える。互いに助け、助けられるという経験を通して、それぞれの生活に充実感と感謝の念を生み、地域の人間関係を深いものにする可能性を感じるからだ。