【要約】
消費という言葉はもともと、ものをあとかたもなく使い尽くすことである。今の世の中ではたしかに生活の局面局面を無償で営むことはできないために、消費という言葉は金銭の支出に伴う活動の全てを覆っているが、われわれはただ日々の日常を営んでいるだけで、「何か」を使い尽くしているわけではない。その意味ではわれわれは決して消費活動を行っているわけではないのである。その点で消費税は生活税と呼ぶべきである。そもそも生活するということは、「住まうこと」であり、場所の占め方の様々な形態のことであって、そのような多様な活動を消費という言葉で覆い尽くそうとしている消費社会は、わが国の貧しさにつながっている気がしてならない。人間と場所の関係は人間と土地の関係のように外在的な関係ではなく、相互不可分な関係であり、それは人々に多様な経験と新鮮な発見をもたらすのであるが、消費社会はそれをしだいに奪いつつあるように見えるかあるからである。その代償行為として消費社会では擬似的な場所が作られるが、そこでの出来事とは片仮名書きのイベントであることに象徴されるような、金銭を支出してリッチな生活を(まさに擬似的に)送るという私事でしかない。
【問5】(参考)
1.安心立命・・・心を安らかにして身を天命にまかせ、どんなときにも動揺しないこと。
2.一宿一飯・・・一夜の宿と1回の食事を与えられること。通りがかりに立ち寄って世話になること。
3.常住坐臥・・・すわっているときも横になっているときも、いつも。また、ふだん。平生。
4.唯一無二・・・この世でただ一つしかないこと。他に同類のものがなく、その一つ以外並ぶものがないこと。
5.千載一遇・・・滅多に訪れそうもないよい機会。二度と来ないかもしれないほど恵まれた状態。
【問3】
《プロセス》
1.消費という言葉の持つ「貧困さ」とわが国の社会の「まずしさ」をそれぞれ説明する。
2.それらがどのように「つながっている」=「関係している」かを説明する。(例→「相関関係(比例関係のような関係)」なのか、因果関係なのか、イコール関係なのか・・・)
3.ラフ(下書き)の作成
4.字数調整
5.清書&解答欄への記入
《解答例》
◯消費という言葉のもつ貧困さ・・・消費という言葉が金銭の支出を伴う活動のほとんどすべてを覆った(14行目)
→金銭の支出を伴う活動=20行目「今の世の中では~すぎない」=要するに・・・18行目「ただ日々の生活を営んでいるだけである」→日々の生活を営むことを、全て「消費=何かを使い尽くすこと」として捉えている点が「貧困」=狭い捉え方・偏った捉え方
→㊟このことは繰り返される=大事→26行目「『消費』が言葉だけでなく生活をも侵食している→61行目「人間の多様な活動を消費という言葉で覆い尽くそうとする消費社会」
+
◯わが国の社会の「まずしさ」・・・61行目「人間の多様な活動を消費という言葉で覆い尽くそうとする消費社会」=「わが国の社会」は、「社会から場所という場所をしだいに奪いつつある」→その結果→59~60行目「場所というものはそれがすぐれた場所であればあるだけ、人々に多様な経験と新鮮な発見をもたらす」のに、その「場所」を消費社会は、「(社会から場所という場所を)しだいに奪いつつある」(61行目)→その結果→われわれの社会から「多様な経験と新鮮な発見」の基盤が失われていく=「貧しさ」
→㊟「多様」性が失われる=画一的になる=単調=全てが「同じ様」=貧しさ
◯以上をドッキング(以上に述べたように二つの要素は「因果関係」にある)
◯(ラフ)消費という言葉が人間の多様な活動を覆い尽くすことで、われわれの社会から多様な経験と新鮮な発見の基盤が失われていくこと。(59字)
◯不足しているので記述の【青木方式】を使って増やす。ここでは「内容説明の公式」を使って「ラフ」の根拠をプラスする。
◯どうして→(ラフ)「消費という言葉が人間の多様な活動を覆い尽くすことで、われわれの社会から多様な経験と新鮮な発見の基盤が失われていく」のか?→上で説明したように、「(消費社会が『人々に多様な経験と新鮮な発見をもたらす』(生活と相互不可分で内在的な関係にある)場所という場所を奪うから」である。→これをプラス!!
◯(字数調整&清書)
消費という言葉が人間の多様な活動を覆い尽くすことで、われわれの社会から生活と不可分で内在的な関係の場所が失われ、多様な経験と新鮮な発見の基盤が失われていくこと。(80字)