2016年4月6日実施本部タワー校春期セミナー『青木邦容の標準現代文』7~9㌻【補足】

【Ⅱ】

POINT①言葉の意味をきかれた場合は、たしかに「辞書に載っている意味」が解答のベースになるが、いわゆる「辞書的意味」をすべて覚えるようなことは受験勉強として非常に効率が悪いよね。

POINT②したがって「辞書的意味」を知っている言葉が出題された時は、文脈よりもまず「辞書的意味ならどれが正解か」「どのような解答にすれば良いか」を考え、その「辞書的意味」を知らない言葉が出題された場合は次の要領で答える。

POINT③【要領】傍線部になっている表現を、あえて空欄と考え、そこにどのような表現を入れれば「文」として成立するかを考える。今回の場合、「たたずまい」の箇所を空欄と考える→「弟は~酔った」を1文と考え、その意味を頭の中で考えるために「この異様な[ 空欄状態 ]に酔った」の[            ] にどのような言葉を挿入すれば良いか?と考えてみる。

POINT④(続き)「この異様な~」の「この」は直前の「月の光~形に似ていた」を指している。つまり「この異様な[ 空欄状態 ]」とは、「うずくまった獣のかたちに似ている、月の光をあびて黒々としずまりかえっている家」のことになる。したがって空欄には「かたち」に関係するものが入るということが考えられる。

POINT⑤(続き)ということで講義でも述べたように、まず選択肢を吟味する前に、できるだけ自分で解答をイメージしておくことが大切。現代文は原則「自分で答えを考える」教科なのだ。決して答えを「探す」ことが中心ではないのである。POINT④でみたようなことを踏まえて改めて空欄にした箇所を含む「弟は~酔った」という1文の意味を考えれば、「弟は、『うずくまった獣のかたちに似ている、月の光をあびて黒々としずまりかえっている家』を『見て』、その光景に酔った」ということになるだろう。そこで選択肢を見てみるとー。

POINT⑥(続き)①「けはい」は目で見えない時に感じとるものなので× ②「いごこち」も「見る」「かたち」ということと関係無いので× ③「におい」は視覚ではなく嗅覚なので× ④「しずけさ」は聴覚なので× ということで「見る」=視覚、「かたち」=視覚で捉える=、「弟は、、『うずくまった獣のかたちに似ている、月の光をあびて黒々としずまりかえっている家』を『見て』、その光景に酔った」というイメージに合うのは⑤しかない。

 

【Ⅱ】

POINT①下記に見られるように、正解と思われる選択肢に物事の程度を表す副詞や形容詞(の副詞的用法)がある場合、元の傍線部内の表現に、それと対応する表現がなくてはならない。

 

屈託なく ①きわめて不作法に ②まったく疲れを知らず ③何のこだわりもなく ④ひどく無遠に 

⑤少しの思慮もなく

    

⇒①の「きわめて」④の「ひどく」は「瞬殺」でアウト!傍線部「屈託なく」内に、「きわめて」や「ひどく」にあたる「強調」表現はない。

⇒「傍線部クローンの法則」=傍線部にない表現が、選択肢に(内容的に)あってはいけない!!

選択肢①と④ ①きわめて+不作法  ④ひどく+無遠慮   ≠   屈託+なく

選択肢②③⑤ ②まったく+ず=ない(+疲れを知る) ③何の+なく=ない(+こだわり) ⑤少しの+なく

        =ない(+思慮)             ≒   屈託+なく

 ②まったく③何の⑤少しの、はそれぞれ以下に続く「ず」「なく」「なく」と組み合わさって「ない」という意味を表す→「屈託なく」の「なく」と対応している。

POINT②以上から選択肢②③⑤が残ったので、【Ⅱ】同様に傍線部を空欄にして、その空欄にどのような表現が入るかを『考えて』みる。

POINT③「だから」以前にあるように、「母」の憂鬱の原因は碧郎にあるのに、「そんなことにはお構いなしに」碧郎が「はしゃいで大笑いしたり」するので(姉の)げんは「びっくり」しているのである。

POINT④以上の点から、選択肢に「お構いなしに」に近い意味を持つ選択肢を探す。③がそれだ。