【要約】
子規の言葉のなかで私のもっとも好きなものは「病牀六尺」に収められているが、この時の子規は余命、あと1ヶ月と少しだった。ここには「造化の秘密」を窮める予感を持ち始めた子規がいるが、その1年と3ヶ月前に作られた「おぼつかなくも筆を取りて」では、彼は写生の実践の最上の達成、つまり写生でありながら自らの感興を出すことに成功しているが、「造化の秘密」をうかがうまでには至っていない。またその6日後の「しひて筆を取りて」十首では、彼は自らの理論である写生から自由になったかのように、ひたすら先途無きおのが身ひとつを嘆くように、自らの切実な思いを歌っているが、やはり「造化の秘密」には至っていない。しかし「しひて筆を取りて」では、写生理論から跳躍し、自らの心そのものを歌うことに成功している。
【問1】
ア蛇足 イ自縛 ウ混入 エ深刻 オ忘却
【問8】(2)写生を超え、自らの心そのものを歌うことに成功しているから。(29字)
写生のを超え、自らの深刻で切実な気持ちを歌っているから。(28字)
写生を超え、対象に融けこむことで、自らの心を歌っているから。(30字)
《復習問題》
テキスト本文49~50行目「対象に融けこむことによって柔らかい彼の心そのものを歌うことに成功しているのである」とあるが、「柔らかい彼の心」とはどのようなものを指すか。次の①~⑤の中から最も適当なものを選べ(㊟解答は最下段。スクロールして確認のこと)。
①自然の実相を発見し得る、柔軟な心
②主観を排除して、どこまでも客観を貫く心
③自らの余命が少ないことを包み隠さず嘆く心
④写生を主張しながら、時にはそれを忘却する心
⑤わが身に先途がないことを忘却する楽天的な心
《解答》
③