【要約】
身体のあり方と運動の様式はほぼ同義で有り、その様式は19世紀、20世紀を通じて世界的に標準化されてきた。19世紀段階ではそれは主に生産労働の規格化を通じて行われたが、本来的に人間の身体運動は、そうした生産や実用の世界に限られたものではない。身体は外界に働きかけるだけでなく、自らの存在感を確かめ、味わうためにも運動するのである。その意味で身体は「する」身体の営みと「ある」身体の営みを持つと言える。20世紀にはこの身体の自己確認のための運動様式である、「ある」身体の自己確認の営みが、世界的な統一の趨勢に乗って文明の境を超え始めた。特にスポーツは、現実の目的連鎖に組み込まれることのない典型的な「ある」身体の行動として、野球やテニスやサッカーなど商業スポーツの影響や、オリンピックによって地球規模に拡大していった。そして21世紀の人類は、「ある」身体の全ての機能についての理想を共有し、その実現や成果を共に賛美することでも連帯しつつある。
【問1】
ア 交歓 イ 巧拙
【問3】
スポーツは外界と関わるが、真の現実の中では合理的意味を持たない行動であり、自己の身体の存在感を確認して楽しむ営みだから。 (60字)
《別解》
スポーツは、現実の目的連鎖を持たない非生産的、非実用的な行動様式を通して、自己の身体の存在感を確認して楽しむ営みだから。 (60字)
《復習問題》
テキスト本文41行目「スポーツが関わる外界はいわば虚構の外界であって」とあるが、「虚構の外界」を説明した次の文に当てはまる表現を本文から20字以内で抜き出せ(㊟解答は最下段。スクロールして確認のこと)。
◯スポーツが関わる外界は、非生産的、非実用的な性格を持ち、そこにおける行動の目的は、[ 20字以内 ]。
《解答》
真の現実のなかで合理的な意味は持たない (19字)
㊟本文54行目