【要約】
経験科学は、本来は人間の知恵の一部として、知恵そのものをいっそう豊かするはずのものだったのに、被創造物でありながら自然の支配者であるという人間の意識と、諸文明を支配管理するのが当然というヨーロッパ人の自負が相呼応して生み出された「自然支配」の思想は、当該のヨーロッパを超えて普遍性を獲得し、その中で経験科学は、専門外の人間の知恵と経験を見下すようになってしまっている。それは、科学が、専門学術用語を使用するだけで、“事物そのもの”の学問的に正確な考察と把握=統御が保証されるかのように考え、専門外の素人の日常語を学問から排除しようとすることにも表れている。しかし人類が、現在さまざまな局面で当面している個別的、具体的な事態を有効に補足し解決しうる科学こそ、今必要なのであり、そのためには人間の経験すべてを汲みあげ目的に向かって動員しうる知恵才覚と技術を与えてくれる真の経験科学の創造が必要である。
【問1】 ア はぐく イ 普遍 ウ 顕著 エ そこ オ 排他
【問4】
専門語を排他的に用い、素人の日常語や知恵、経験を見下す。(28字)
《復習問題》(㊟解答は最下段なのでスクロールして確認のこと)
〈問1〉本文13行目「おしなべての被創造物」の「おしなべて」の意味内容として最も適当なものを、次の①~⑤の中から一つ選べ。
①ぼかして ②推し量って ③隠して ④総じて ⑤ひらたく言って
〈問2〉本文14行目『これは、「文明の輝かしい末子であって・・・」』の中の「これ」の指示内容を、端的に言い換えたものを、本文中より四文字で抜き出せ。
〈問3〉本文44~45行目「ようやくこれから一歩を歩みつつあるその段階にあるにすぎません」とあるが、何が
「その段階にあるにすぎ」ないのか。本文中より抜き出せ。
《解答》
《問1》 ④
《問2》人間賛歌
《問3》経験科学