【要約】
小林一茶と飯田龍太の句を詠み比べてみると、前者が風景の視覚的美しさを詠み、後者が皮膚感覚で触った風景の気配を詠んでいるという違いに気付く。これらを通して、風景には視感覚の勝った風景と触感覚に秀でた風景の二つの側面が存在すると考えられるが、そうした風景を描いた風景画には、現実の風景知覚にあるはずの自己の身体が慎重に排除されている。しかし実際には、私たちが現実に風景を体験する時は、視覚と身体感覚が同時に働いているのであり、世界の生きた気配を内側から捉え、外側から形として客観視しているわけである。こうして現実の風景は、以上のような二つの側面の双対関係をもって我々の前に立ち現れる。
【問1】
ア 歓声 イ 排除 ウ 秩序 エ 鼓動 オ 息吹
【問4】
一茶が、視感覚で外側から捉えた風景の美を伝えるのに対し、龍太は、内側から触感覚で捉えた世界の生きた風景の気配を伝える。
《復習問題》
本文中では一茶の句と龍太の句を対比して、それぞれが伝えている風景の二つの側面が語られているが、龍太の句が伝えていることを具体的に説明した箇所を、13字で文中から抜き出せ。(㊟解答はスクロールして最下段参照)
《解答》皮膚感覚で触った山河の気配
【問9 文学史 オマケ】
イ 松尾芭蕉 ロ 小林一茶 ハ 向井去来 ニ 与謝蕪村 ホ 松尾芭蕉
【よくデル!!『松尾芭蕉の紀行文と俳文』】
《覚え方》野ざらしの 鹿島はおいの 更科の 奥の庵で 旅を語りぬ (㊟五七五七七のリズムで覚える)
①野ざらしの 『野ざらし紀行』 ②鹿島は 『鹿島紀行(かしまきこう)』 ③おいの 『笈の小文(おいのこぶみ)』 ④更科の 『更科紀行(さらしなきこう)』 ⑤奥の 『奥の細道』 ⑥庵で 『幻住庵記(げんじゅうあんのき)』(俳文) ⑦旅を語りぬ 作品名ではなく「紀行文」であるということ(㊟紀行文とは旅をして、その時の経験や感想、見聞きしたものなどを記した文章。和歌や俳句、短歌あるいは漢詩などが入っていることが多い。旅日記のようなもの。「土佐日記」がその始まりとされる。俳文とは、当時の俳諧のエッセンスを盛り込んだ今で言うエッセイのようなもの。今回の設問の選択肢ロ 「おらが春」は小林一茶の俳文として超有名。)