2015第1学期『現代文読解』第4講高橋由典「社会学講義」要約&漢字解答&記述解答例&復習問題

【要約】

社会学における人間の行動の見方には二つの方法があり、一つはM・ウェーバーの方法論に代表される見方だが、これによると人間の行動は、行為と呼ばれる、主体の意思決定の所産となる。もう一つはE・デュルケームの方法に代表されるもので、これによるとそれは、社会による決定の所産と見なされる。前者を個体主義的な視点、後者を総体主義的な視点と呼んだ場合、前者の想定している人間の行動は、その意思決定の過程を、個人の利害や理念に依拠する合理的なものとするが、後者のそれは、社会的・制度的な拘束の下にあることを明らかにするものである。

 

【問1】

ア 等価 イ 突飛 ウ 外在

 

【問4】

説明不可能な非合理的意思決定は視野の外におき、合理的に説明可能な、主体の自由な意思決定の所産としての行動のみを説明する。(60字)

 

《復習問題》

例文として挙げる次うのような内容は、本文で言うところの「総体主義的な視点」に関係するものか、あるいは「個体主義的な視点」に関するものなのか。どちらかを選べ。

 

(例文)人は、最近金銭上の損害をこうむったとか、家庭のもめごとに悩んでいたとか、いくらかの飲酒癖があったとかいうような噂にもとづいて、ある人間の自殺の原因を、その飲酒癖や家庭の悩みや経済的打撃などに帰してしまう。このような疑わしい情報を自殺の説明の根拠とすることはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》 総体主義的な視点

 

 

2015第1学期『現代文基本マスター』第3講河合隼雄「こころの処方箋」要約&復習問題

【要約】

日本人は自分の心の中にあるヴィジョンを過小評価する傾向が強すぎるように思われる。細かい事実の発明や発見、というよりは改良に心を奪われるあまり、心の中に描くヴィジョンの価値を自覚していない場合が多いのだ。我々は時に衝動的に何かが欲しくて、他人から見れば馬鹿げたように見える努力を払い続ける時があるが、そうした衝動的な行動を支える原動力として、自分の心の中にある「絵に描いた餅」のようなヴィジョンの方が、手に入れたい現実のものよりも高価な意味を持っていることに気付くこともある。こうした「絵に描いた餅」の鑑賞力を磨くことが、現実とヴィジョンの混同による失敗を少なくするためにも、これからますます必要である。

 

《復習問題》

本文30行目「餅の絵姿をいろいろな様相で見せてくれる」とあるが、これは例えばどういう意味のことを言っているのか。次の中からその説明として最も適当なものを選べ(㊟解答は最下段にあるのでスクロールして確認のこと)。

 

①現実の存在が、自分の心の中にあるイメージによってゆがめられ、客観的には何も変わっていないのに、主観的には様々に変容していっているように思い込んでしまうこと。

②現実の存在と自分の心の中のイメージを埋めようとして、現実の存在に対して色々な妄想を抱くようになり、徐々に現実の存在を正しく認識できなくなるということ。

③現実の存在よりも自分の心の中にある理想的なイメージを優先させて、その存在を見るせいで、現実の存在がとてもつまらない存在に見えてしまうということ。

④現実の存在が、自分の心の中の様々イメージと合致するものを僅かでも持っていれば、その存在が自分の心の中にある様々な理想を全て満たしていると思ってしまうということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》④

2015第1学期『現代文読解』第3講小林秀雄「読書の工夫」要約&漢字解答&記述解答例&復習問題&文学史(オマケ)

【要約】

自分を忘れ、小説中の人物となり、小説中の生活を自らやっているように錯覚する楽しみに身をゆだねることは、小説中の一番普通の魅力であり、かつ根本の魅力である。したがって普通の読者はこの魅力以上の魅力を小説から求めようとはしないが、この読み方は、小説の濫読によって自分を失い、他人を装う術が知らず知らずに身に付いてくる危険性を伴う。実際、小説に毒されて他人を装う術がすっかり身についてしまい、本当と嘘との区別がつかなくなってしまっているような文学好きが存在し、こういう類いの人間は、小説を読んでいれば実地に何でもやっている気になれるので、実地に何もやらなくなる。このような中毒を起こすのは、小説を、自分を失う一緒の刺激のようなものとしてしか受け取っていないからだ。小説だけではなく思想の書物も同じだが、読書もまた実人生の経験と同じく真実な経験である点で、絶えず書物というものに読者の心は目覚めて対していなければならない。小説で言えば、読書もまた小説を読む事で、自分の力で作家のつくるところに協力するような態度が必要であり、この協力感の自覚こそ、読書の本当の楽しみと言える。思想の本で言えば、自分の身に照らして書いてある思想を理解しようと努めるべきだということである。小説も思想の本も、他人を装う術を覚えるような読書の仕方は避けるべきである。

 

【問1】

1根本 イ根源(元) ロ根底 ハ根拠 ニ根絶 ホ混雑

2 本能 イ才能 ロ効能 ハ全能 ニ頭脳 ホ技能

3 切断 イ断片 ロ段落 ハ断水 ニ断面 ホ断定

4 省みる イ猛省 ロ反省 ハ抑制 ニ自省 ホ内省

5空  イ空手形 ロ空元気 ハ漢心(漢意) ニ空車 ホ空堀

 

 【問3】

自分の身に照らして小説を読むことで得る、作家への協力感の自覚が生み出す楽しみ。 (39字)

 

【参考- 問7】「小林秀雄-文学史」暗記法

(覚え方)『➀私は ②無常な ③ひでぇ ④衣裳、 ⑤金 ⑥品、 ⑦本 もない ⑧生活。 ⑼儲けは ⑩「×」で、⑪人生 ⑫ゴーホーム!!』

➀「私小説論」 ②「無常といふ事」 ③小林秀雄 ④「様々なる意匠」 ⑤「近代絵画」 ⑥「考えるヒント」 ⑦「本居宣長」 ⑧「ドストエフスキイの生活」 ⑨「モオツアルト」 ⑩「Xへの手紙」 ⑪「私の人生論」 ⑫「ゴッホの手紙」

 

《復習問題》

本文30行目「読書もまた実人生の経験と同じく真実な経験である」とあるが、これはどういうことか。その説明として最も適当なものを次の①~⑤の中から選べ。(㊟解答は最下段)

①普通の人は、読書によって自分を失い、他人を装う錯覚に陥るが、いくらそのような状態になっても現実世界からは逃れられないということ。

②筆者が、読書を「自分を失う一種の刺激のようなもの」と表現しているように、読書は刺激的で、本当は自分を見失うものではないということ。

③読書と言えど、自分が実地に書いてあることを自分の身に照らして楽しんだり理解したりする点で、その他の現実の経験と本質は変わらないということ。

④読書は、「こちらが頭を空にしていれば、向こうでそれを満たしてくれるというもの」ではなく、自分で頭を知識で満たす努力が必要な行為であるということ。

⑤読者は人生の中での一つの経験である以上、本の内容も全くのフィクションではなく、自分の人生を自覚的に生きるのと同じくらいのリアリティを持つということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】③

2015第1学期『現代文基本マスター』第2講広中俊雄「法と裁判」要約&漢字解答&記述解答例&復習問題

【要約】

裁判では、客観的な事実の発見と、客観的な存在である法の適用によって、「客観性のある結論」を導き出すことが、裁判官に期待されているが、現実には、裁判官も人間である故に「自分自身以外の眼でみることはできない」ことが問題になる。裁判官のなす事実の決定は、彼の前で証言する証人たちと同様に、機械的な行為ではなく、記憶の誤りや想像による事実の再構成などから逃れられない。これは刑事事件に関する限り、基本的人権の保障に関わる一問題であり、無実の者が誤判のために命を奪われてしまうような可能性が、日本をはじめ、死刑制度を持つ国々で残されている以上、客観的な事実の発見ということが貫徹され、裁判官がそれに自己の生命を掛けるだけの覚悟を持つことを要求し得るような、そして無実の者が処罰されることのないような制度を目指して、可能な限りのことをなすべきである。

 

【問1】

①訴訟 ②しんぴょう ③まぬか(まぬが) ④誇張 ⑤貫徹

⑥要請

 

【問7】(解答例)

裁判官に客観的事実の発見に自己の生命を掛ける覚悟を要請できるような、無実の者が処罰されることのない制度をめざすべきだ。 (59字)

 

《復習問題》

本文75行目「制度の問題として可能なかぎりのことをなすべきであろう」とあるが、こと「死刑」に関して筆者は、裁判官に「自己の生命を掛けるだけの覚悟をもつべきであろう」と述べるが、ここから筆者が死刑制度についてどのような考え方を持つと考えられるか。次の中から適当なものを一つ選べ(㊟解答は最下段ースクロールして下さい)。

①客観的な事実の発見ということに裁判官が自己の生命を掛けるだけの覚悟がある場合のみ、死刑を被告人に言い渡しても良い。

②裁判官は記憶の誤りや想像による事件の再構成から逃れられない以上、死刑制度自体を無くす形で、無実の者が処罰されることを避けるしかない。

③無実の者が誤判のために生命を奪われることは避けなければならないが、それを恐れるあまりに処罰の確実性を犠牲にするのは良くない。

④裁判官は、本来、客観的な事実の発見に責任と覚悟を持つべき存在であるので、被告人に対して確実な形で死刑を宣告できるよう努力すべきである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》②

 

2015第1学期先取り学習『青木邦容の基礎→標準現代文』第3講芦原義信「街並みの美学」要約&記述解答例&復習問題

【要約】

西洋式ホテルと温泉観光ホテルとの対比から分かることは、日本人の「うち」というのは、空間領域的にとらえると「靴をぬいだ」空間のことを指し、西洋人のそれとは著しく空間意識の点で隔たりがあるということである。西洋人にとって「うち」つまり「内部」とは、建物内部のことではなく、個室の中を指す。家の中でも靴を履いて暮らす習慣を持つ彼らにとっては、家の内部は外部の延長上に存在するものとして認識されている。いずれにせよ、このような空間意識の違いがあることを意識しないでは、ある場所を内部と考える人と外部と考える人の間に、不都合や不快感をもたらしてしまう。日本はその内的秩序を整える伝統から、建築の外部に無関心であり、西洋はその外的秩序の考えから、家の中まで靴のまま入る習慣や、都市空間の充実という現象を生み出した。

 

【問3】

○大声を出したり奇声を発する。

○大声を出したり、騒いだりする。   等

 

【問4】

日本人は、家族が過ごす「靴をぬいでいる」内的秩序の空間を重視する伝統を持つから。(40)

 

(別解)日本人は、内的秩序を重視するため「靴をはいている」建築外部には無関心だったから。(40)

 

《復習問題》

《復習問題》本文42行目「家の中まで靴のまま入るという習慣」とあるが、西欧諸国でこのような習慣が生まれてきた理由として最も適当なものはどれか。次の①~⑤の中から選べ。

 

①    家の外部にも美しい模様の舗装を古くから発達させるなど、常に街並みの美化に注力してきたから。

②    外的秩序の考え方から、街を常にきれいにしているために、外から帰っても靴を脱ぐ必要が無かったか 

   ら。

③    「個室」以外は全て外部という考え方から、建物の内部でも「外部」の延長という認識があるから。

④    日本と異なり、建築の内部には無関心で、建物内部の美化に努めようという意識が生まれなかったから。

⑤    日本の住まいで行われることが西洋では外で行われ、そのために空間意識の内外の別が薄かったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》③

 

2015第1学期『青木邦容の基礎→標準現代文』第2講菅野道夫「ファジイ理論の目指すもの」要約&復習問題

【要約】

あいまいだからよい最たるものとしての言語の使用が、生きた人間の日々の証であり普遍的な契機だとすれば、人間の日常性はあいまいさによって支えられていることになる。人間の意識の対象世界が無限の奥行きと多様性を見せるのに対して、言語は有限であるために、個々の言語は必然的に広がりを持った領域を受け持たざるを得なくなる。言語はもともと不連続なものであるから、言語による分節化は連続世界の離散化になるが、誰にとっても共通な、確定的部分への離散化が不可能である故に、言語はあいまいさを持たざるを得ないのである。逆に数学世界の二値論理的概念は、〈曖昧性〉を持つ自然言語では表すことができないことを考えれば、自然言語の〈曖昧性〉が理解出来る。そしてその〈曖昧性〉は、思考とコミュニケーションの場で本質的に現象する。もし言語が〈曖昧性〉を持たなければ、思考は前進せず、またコミュニケーションも成立しない。なぜなら、変化する現実世界と時間の流れの中で、双方共に限られた時間の中で行われる動的プロセスだからである。やはり言葉はその〈曖昧性〉ゆえに使用に堪えるものなのである。

 

《復習問題》本文中に登場した「分節化」という表現についての説明として、最も適当な例を次からひとつ選べ。

 

①雑踏の中の人々の会話に耳を澄まし、会話内容を理解しようとする。

②名札に書いてある商品名と、コンピューター上のデータを照らし合わせて在庫チェックをする。

③暴走し、人を轢いてしまった「自家用車」を「殺人道具」と呼ぶ。

④どこからどこまでが自分の仕事の範囲かを決めてから仕事に掛かる。

⑤自然を見て、美しいと感じ、それを詩にして朗読してみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》③ 本来は分類されていない混沌とした世界を認識のために言葉によって分類し、同時に意味を与えること(「青木の現代文単語の王様」(代々木ライブラリー)112㌻参照)。この場合、一般的には「自家用車」と呼ばれているものを、「殺人道具」と呼ぶことで、「自家用車」一般から切り離し=分類し、新たに「殺人」に使われた「道具」という意味を与えた。

2015第1学期先取り学習『センター現代文』第2講リービ英雄「『there』のないカリフォルニア」要約&漢字解答&復習問題

【要約】

四季がはっきりしていることが現実にとっても文学にとっても重要な特徴であり続けてきた日本、そして近年の日本以上に四季の変化が豊かなアメリカ東海岸からカリフォルニアに来て、ほとんど何の変化も見せない、そのコバルト色の空に対して、最初は単純で明快なグッド・フィーリングを覚えたが、やがてスタンフォード大学で日本の古典文学の授業が始まると、事情は一変した。季節の変化など存在しない、コバルト色の空の下で、季節感の細かい変化を表現の軸の一つにした古代・上代の日本文学を講じるのは、あまりにも違和感があり過ぎたのだ。それは、ある種のパニックどころか、「カルチャーショック」より深刻な、一つの虚無感を引き起こした。しかし、カリフォルニアは、現在そこに住む人間にとっては、季節の変化がないという意味でパラダイスであり、20世紀の終わり頃のカリフォルニアに住んでいた人間にとっては、疲労した近代文明の「その次」の生き方を示す、優越感を感じられる場所としてパラダイスであった。いずれにしても『そこにいる』あるいは『どこかにいる』という感覚を全く感じさせないその場所は、ガートルード・スタインの名言の一部を借りれば、まさに「thereのないカリフォルニア」と言える場所だった。このような「パラダイス」では、「枕草子」は教えられない。また、清少納言の「季節批評」は「there」だらけの狭い島国の産物であることが、痛いほど感じた「私」は、この場所には長く止まれないことを強く自覚するのであった。

 

【問1】

(ア)祖先 1組織 2○ 3粗略 4険阻 5租税)

(イ)深刻 1慎 2浸 3親 4辛 5○

(ウ)澄   1澄明 2調律 3眺望 4早朝 5潮流

(エ)先端 1担 2 探 3鍛 4○ 5淡

(オ)浮遊 1誘 2○ 3優 4勇 5憂

 

《復習問題》(㊟解答は最下段なのでスクロールして確認のこと)

 本文51行目『「歴史の終わり」を生きていた』というのは、この場合、どういう意味か。次の中から最も適当なものを選べ。

 

①イデオロギーの闘いとは全く無縁な場所で、ただ富の蓄積だけを考えて生きていたということ。

②自分自身に誇りを持ち、自らの手で歴史を作ろうという気概を持って生きていたということ。

③資本主義対共産主義といった、思想の闘いには全く無関心のままに大学に通っていたということ。

④何に対しても心を乱されることなく、ただ変化のない環境で毎日を凡庸に生きているということ。

⑤季節の区別を知りながら、その情緒を理解しないままに、ただ天気を愛して生きているということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》 ④ (㊟アウトラインは「季節の問題に象徴されるような「悩み事」とは無縁に、ただ変化のない環境で、平穏で変化のない毎日を生きている」ということ。)

2015第1学期先取り学習『現代文読解』第2講内田義彦「読書と社会科学」要約&漢字解答&記述解答&復習問題

【要約】

経験科学は、本来は人間の知恵の一部として、知恵そのものをいっそう豊かするはずのものだったのに、被創造物でありながら自然の支配者であるという人間の意識と、諸文明を支配管理するのが当然というヨーロッパ人の自負が相呼応して生み出された「自然支配」の思想は、当該のヨーロッパを超えて普遍性を獲得し、その中で経験科学は、専門外の人間の知恵と経験を見下すようになってしまっている。それは、科学が、専門学術用語を使用するだけで、“事物そのもの”の学問的に正確な考察と把握=統御が保証されるかのように考え、専門外の素人の日常語を学問から排除しようとすることにも表れている。しかし人類が、現在さまざまな局面で当面している個別的、具体的な事態を有効に補足し解決しうる科学こそ、今必要なのであり、そのためには人間の経験すべてを汲みあげ目的に向かって動員しうる知恵才覚と技術を与えてくれる真の経験科学の創造が必要である。

 

【問1】 ア はぐく イ 普遍 ウ 顕著 エ そこ オ 排他

 

【問4】

専門語を排他的に用い、素人の日常語や知恵、経験を見下す。(28字)

 

《復習問題》(㊟解答は最下段なのでスクロールして確認のこと)

〈問1〉本文13行目「おしなべての被創造物」の「おしなべて」の意味内容として最も適当なものを、次の①~⑤の中から一つ選べ。

①ぼかして ②推し量って ③隠して ④総じて ⑤ひらたく言って

〈問2〉本文14行目『これは、「文明の輝かしい末子であって・・・」』の中の「これ」の指示内容を、端的に言い換えたものを、本文中より四文字で抜き出せ。

〈問3〉本文44~45行目「ようやくこれから一歩を歩みつつあるその段階にあるにすぎません」とあるが、何が

「その段階にあるにすぎ」ないのか。本文中より抜き出せ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》

《問1》 ④

《問2》人間賛歌

《問3》経験科学

2015第1学期『センター現代文』第1講河合隼雄「イメージの心理学」問1 漢字解答参考

【問1】

(ア)  普遍 ①符合 ②不朽 ③普及 ④負担 ⑤付随

(イ)  幼稚 ①知己 ②誘致 ③遅刻 ④稚魚 ⑤無恥

(ウ) 卑小 ①秘境 ②否認 ③非凡 ④卑近 ⑤避難

(エ) 指摘 ①好敵手 ②摘発 ③快適 ④端的 ⑤水滴

(オ) 排斥 ①敗退 ②廃絶 ③排気 ④背信 ⑤配慮

2015第1学期第2回『Weeklyテスト演習(基礎)①』小松和彦「妖怪学新考」解説講義補足(問5記述問題の説明補足とコツ)

【解説講義補足】

《問5》

まず【設問チェック】しましたね。これで設問に答えるには、本文から「妖怪が棲むこと」の条件は何か?-ということが読解POINTのひとつだということはつかめています。

ここから設問には、本文から探し出す、その「妖怪が棲むこと」の条件を「そのような空間」が持っていないから(「そのような空間」にないから)というように答えれば良いということがわかりました。

 

さて、まずは本文読解の時に言った、読解の法則にしたがってその「条件」を探しましょう。

それは-25行目-「闇」の空間・「奥」の空間でしたね。

 

また、傍線部内の「そのような空間」とは、第8段落の内容から『「開発」によって作り出される空間』(=陰影を欠いた均質的な空間/聖なる固定点がどこにあるかはっきりしない空間/「奥」や「後ろの山」がない空間)であることはわかっています。

これらをまとめたものは35行目「人間の住む空間、人間の支配する苦空間」というように説明されています。

 

そして講義で説明したように【設問チェック】→【読解】のプロセスで最も見落としてはならないのが『「光り」の領域の増大に反比例して、妖怪の空間は縮小していったのである』という箇所です。

ここは【設問チェック】で考えた、『「妖怪が棲むこと」の条件を「そのような空間」が持っていないから(「そのような空間」にないから)』というイメージに近い内容を持っています。

 

以上のようなポイントをまとめて簡単な解答を考えてみます=「ラフ」の作成。

「妖怪の空間が縮小」したのは「『「光り」の領域の増大』が原因→ということは「妖怪が棲むこと」の条件は「闇」(の空間)が無いからだ。

どこにないのか?→「そのような空間」(傍線部)にない。→「そのような空間」とは何か?→「開発」によって、作り出された人間の住む空間、人間の支配する均質空間。

簡単まとめてみよう(ラフ)=「開発」によって、作り出された人間の住む空間、人間の支配する均質空間は「闇」を持たないから。(46字)

字数が(当然)不足(笑´∀`)

理由説明問題で「字数不足」の場合は、先に本文内でチェックした【読解のPOINT】箇所から、次に示す『記述のツボ』にあるような材料を拾って、ラフと合成すれば簡単に記述の解答が書けます。

『記述のツボ』(字数が不足したら)理由説明問題は、「直接理由」の他に①間接理由(「直接理由」の『理由』)②傍線部の内容説明③「直接理由」の内容説明―を適宜プラス!!

(参考)「直接理由」とは?「間接理由」とは?

たとえば「彼が学校を休んだ理由」を求められて、その答えが「風邪を引いたから」だったとします。

この「風邪を引いたから」が、学校を休んだ「直接理由」です。

 

もしそれで説明不足というなら、次に「間接理由」をプラスします。

「間接理由」とは、「直接理由」の「理由」のことです。

この場合なら、「なぜ風邪を引いたのか」、その理由に当たるものをプラスすれば良いのです。

仮にそれが「裸のまま寝てしまったから」ならば、それが「間接理由」に当たります。

 

これらを合成するとー

〇彼は、裸のまま寝てしまい、風邪を引いてしまったから。

となりますね。

 

さらに、もしこれでも字数不足に陥る、あるいは「間接理由」が本文に見当たらないなら、先ほどの『記述のツボ』に書いたように、さらに「裸で寝てしまった理由」を付け足すか、あるいは「傍線部」の内容説明を付け加えます。

 

今回の傍線部が「彼が学校を休んだ」というものなら、これを説明したものを先の理由に付け足せば良い。

たとえばー

〇彼は、裸のまま寝てしまい、風邪を引いて学校にいくことが出来なくなってしまったから。

 となります(二重傍線部に注目。ここが傍線部「学校を休んだ」の言い換え=内容説明です)。

 

これでもダメなら(あるいは以上に述べた材料が本文に見つからない、あるいは作れない場合は)、『記述のツボ』の③を使って「直接理由」の説明を付け加えます。

 

今回の場合なら「風邪を引いた」ことを説明したものを付け加えるのです。

 

たとえばー

 〇彼は、裸のまま寝てしまい、風邪を引いて熱が高く、また咳もひどく、学校にいくことが出来なくなってしまったから。

 となります(二重傍線部の部分が、「風邪を引いた」という直接理由の内容説明になっていることに注目して下さい)。

 

このように解答の字数を増やそうと思えばいくらでも増やせます。

 しかし「変な材料」を本文から抜き出して「適当」に付け加えると、元の答えを台無しにしかねません。

『記述のツボ』を意識して、少しずつアレンジしていくのがコツです。料理の味付けと同じです(笑)

味が足らないからといって調味料ドバドバドバぁ~はNGなのです。

 

では、先ほどのラフを『記述のツボ』で「料理」しましょう!!

(ラフ)=「開発」によって、作り出された人間の住む空間、人間の支配する均質空間は「闇」を持たないから。(46字)

まず「間接理由」があるか?→この場合なら『「闇」を持たない』理由→すでに「ラフ」の中に『「開発」によって』とあるので新たに付け足すものがない→『「光り」の領域の増大』はどうか?→ダメではないが、「ラフ」の中の「開発」や「作り出された人間の住む空間、人間の支配する均質空間」の中に「明るい電灯が大都市から地方都市、住宅の居間からその他の部屋へと普及していく」=『電灯が「闇」を克服する』(24行目、29行目)という内容が意味的に含まれているので、「ラフ」とダブってしまうので避けた方が良い。

ならば『記述のツボ』②の傍線部の内容説明はどうか?

(傍線部)「妖怪が棲むことは容易なことではない」=(27行目)「妖怪は追放されてゆくことになった」(31行目)「妖怪の空間は縮小していった」などが見つかる・・・が、これらを使うと(字数は増えるが)、今回の場合=「そのような空間に妖怪が棲むことは容易なことではないのは明らか」な理由としては弱い(もちろん他に材料がない場合、あるいは他に材料を探す時間がない場合はこれを合成するが)。

さらに『記述のツボ』③「直接理由」の内容説明はどうか?

「ラフ」の『「闇」を持たないから』の言い換え、説明は本文にないか?

「ある!!」→(29~30行目)『電灯が「闇」を克服するということは~消滅してゆくことでもあった』の次に「つまり」とあり、その内容を説明していることになる。

『「闇」から紡ぎ出されるうわさ話や物語が人々の周囲から消え失せていったわけである』がそれだ!!

これを先ほどの「ラフ」に合成して全体を整える。

「開発」によって、人間の住む空間、人間の支配する空間に変貌した均質空間には「闇」がなく、そこから妖怪にまつわるうわさ話や物語が紡ぎ出されることはないから。(77字)

完成した!!

㊟模範解答の「コスモロジーが共有されにくい」という指摘は、必ずしも解答に入れる必要はありません。「うわさ話や物語が定着せず」という内容が、入っていればOKです。