2014年夏期講習会「上智大現代文」第1講要約&復習問題

【要約】

アメリカの応用数学者であるウィナーは、「一定の技術はそれ自身において政治的性質をもっている」と述べ、その性質を二つに分けて説明した。その一つは特定の政治的目的を実現するために技術的装置の一定の構造がデザインされ製作される場合であり、それに対して第二は、技術がもっと密接な形で一定の社会構造と結びついている場合である。いずれにしても、それがもたらす決定的な社会的効果は、技術の表立っての目的としては示されておらず、また一見したところ問題の技術的製品はその目的を実現する中立的な手段にしか見えない。その点では技術とは、表立っての政治的討議や抗争を省略しながら特定の政治目標を実現する営みだと考えることもできる。そうした技術的製品がデザインされ、製作された社会/技術ネットワークが安定し、正常な環境の一部となると、技術が本来もっていた政治的性質は隠され、沈黙し暗黙的なものとなるが、これはその政治的役割が自明になるほどうまく機能するようになったということを意味している。技術の解釈学は、そうした隠れている技術の政治的性格を、自明化している技術を改めて問い直すことで焦点化する。ここから技術の解釈学には、安定化していた社会/技術ネットワークを脱安定化し、再政治化し、さらに現代の価値観を変革する可能性を示唆する機能が備わっていると見なすことができる。

 

 

【復習問題】

本文54~56行目「技術的製品が~暗黙的なものとなる」の内容を表した具体例として適切なものを次の中から選べ。(㊟解答は最下段)

①一般生活において、普通の電球からLED照明に替えることが流行している。

②一般生活において、人々がスマートフォンやPCを使うことが当たり前になっている。

③一般生活において、現実よりもゲームの世界に入り浸る人が若者中心に増加している。

④一般生活において、階段よりもエスカレーターやエレベーターの方が多く見られる。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】②(これらの機器が、「あたり前」のモノとして社会に浸透することで、これらを使えない人が疎外されている状況が見られる)