【解答例①】
医療には、ホスピスケアのような本人を苦しみから可能な限り解放しようとするものもある。その点で、生殖補助医療は子どもが出来ないという人の精神的苦痛から、当人を解放するためのものであるという点では医療の一種と考えられ、「科学の濫用」ということは出来ない。もしこれを不自然というのなら医療は全て不自然だということになる。
【解答例②】
WHOの健康の定義では「健康とは、完全な 肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」とある。また医療の目的が、人間の「健康」の維持、回復、促進であるなら、子どもが出来ないことで心的苦痛を抱えている状態は「健康」とは言えない。それを回復するのに生殖医療技術が使われるのなら、それは医療であり、「科学の濫用」とは言えない。
【解答例③】
AIDで誕生した子どもの出自をする権利が日本では保障されてないなど、生殖補助医療で誕生した子どもは、その福祉が脅かされる状況にある。つまり法整備など、社会の受け入れ体制が整っていない状況で「技術的に可能だからする」という点では、生殖補助医療は科学の暴走という点で「科学の濫用」だと言うことができる。また自然界では一定の割合で子孫を残せないものがいるのに、それを技術で残そうとするのは「不自然」だとも言える。