2014第1学期『センター現代文』第11講(問題番号は10)竹田青嗣『陽水の快楽』要約&漢字解答&復習問題

【要約】

井上陽水の「あこがれ」は、ロマン的世界の崩壊あるいは喪失といった定型に属する歌だが、それが〈物語〉化された形で現れたアリスの歌と比較すると、何とも奇妙かつ絶妙な形で閉じられていることが分かる。アリスの歌は、たしかに青春というロマン的世界の喪失がモチーフだが、そこで歌われている情感の定型は、実は自己哀惜と呼ぶべきものであり、それに対して陽水の「あこがれ」は、ロマン的世界を通過した者が、その世界を対象化し、それが幻想であったことを自覚する内容を含んでいる。これはサント・ヴーヴのディスクールに見られるロマン的世界の挫折という〈物語〉的定型だが、陽水の「あこがれ」は、さらに、「つい、あこがれてしまう」と歌うことで、たとえディスイリュージョンの自覚があっても、やはりそのロマン的世界に惹き付けられずにはいられないという心情の機微をゆるやかに編み上げている。

 

 

【問1】

(ア)  傑作 ①潔癖 ②血統 ③傑出 ④結審 ⑤欠損

(イ)  刻印 ①国宝 ②告示 ③酷使 ④彫刻 ⑤克服

(ウ)  色彩 ①際限 ②盆栽 ③採光 ④砕氷 ⑤多彩

(エ)  渇望 ①総括 ②枯渇 ③一括 ④円滑 ⑤活動

(オ)  貴重 ①珍重 ②記帳 ③潮流 ④山頂 ⑤調停

 

 

【復習問題】テキスト本文21行目「いかにも陽水的な響きを刻印されたものである」とあるが、「陽水的な響き」を言い換えたものとして適当なものを次の①~⑤のうちから一つ選べ。(㊟解答は最下段)

 

①    大人にも子供にもあまりかわりなく、定型的でセンチメンタルな情動を醸し出すもの。

②    ディスイリュージョンの自覚を含んだ、ロマン的世界への心情の機微を歌ったもの。

③    一般に若い男女にとって「あこがれ」の対象であるものへの、大人からの貴重な解答。

④    距離を取りつつ魅力を感じる世界への心情を、定型とはやや異なる形で歌ったもの。

⑤    幻想は持ちつつ、惹きつけられるロマン的世界の真理を若者に語りたい欲望を歌ったもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】④