2014第1学期『センター現代文』第10 講(問題番号は9)馬場あき子『おんなの鬼』要約&漢字解答

【要約】

□芸能に登場する鬼は、血なまぐさい惨虐のイメージが強い一方で、その内側は抒情的な優しさや、人間的な懐かしさ、美しさなどに脆い、憧れの情を抱いている点で、女と内面的な近さを持ち、それ故に女は一瞬の飛躍によって鬼に変質をとげられる要素を内包しているとも言える。実際、『今昔物語』における母や、奥州黒塚の鬼の話における鬼女は、女から鬼への変貌を描いたドラマであり、そこには日常そのものの代表のような部分が、いつのまにか恐ろしいものに変質している怖さや、平凡な、という以上に誠実な一女性が、極限的な心情の混乱の果てに鬼へと変貌する、哀しくも美しい、女の激しいフラストレーションの爆発の姿が描かれており、またわれわれはそうした鬼への変貌の果敢な凄絶さに酔おうとさえする。また「この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉」という三橋鷹女の句からも、不幸な女性の、無私の人生の果てに、不意に自覚された激しい自我が、表現を求めつつ昇華してゆく一瞬のおそれといった精神を読み取ることができる。そうした古い女が鬼になっても遂げようとした激しい昇華の一瞬は、希薄化さえしはじめている現代の女性の自我からすると、魅力的なのではないかと思わせる。

 

【問1】

(ア)背信 ①廃物 ②配合 ③祝杯 ④勝敗 ⑤背景

(イ)特効 ①攻撃 ②購読 ③成功 ④時効 ⑤広大

(ウ)無私 ①初志 ②創始 ③私情 ④視野 ⑤風刺

(エ)怠惰 ①耐用 ②退屈 ③滞在 ④大勢 ⑤怠慢

(オ)拡散 ①画策 ②拡張 ③味覚 ④核心 ⑤品格