【問1】
ア悲惨 イ適齢 ウはんさ エ事態 オ飛躍
【要約】
現代の児童文学者は、アンデルセンの「モミの木」に代表されるような、悲惨な結末を持つようなお話を書かない。その結果、現代の児童文学は、明るく楽しい、子どもだけの世界を扱うものになってしまったが、元々、童話は子どもではなく、むしろ大人のためのものだったとして良いような、一般の文学と同じような内容を持っていた。それは縮図としての人生を描いたものであった。たしかに童話的表現はリアリスティツクではないとされるかもしれないが、それは人生の内的真実を象徴的に描いているからである。また、元々が教養ある貴族やインテリ層とは異なる素朴な人たちの中から生まれ、またそういう人たちを読者にしたことから、独特な童話的表現を発達させたという側面もある。いずれにせよ、それは真実を捉えており、決して子どもだましのようなものではない。ドイツ浪漫派の詩人ノヴァーリスは、そうした童話の高い意義を見出し、また童話の世界が文学の基準であるとして、その手法に触れている。彼によれば、「現実」の世界は真の文学と、その内容において食い違っているために、文学の基準となる、最も純粋な文学である童話は、当然、「非現実」の方法を用いて生の真実を描くために、幻想的に見えざるを得ないというのだ。
【問5】
現実の世界は、昔話や童話が描きたい生の真実と食い違っており、現実をリアリスチックに描いても、赤裸々な人生の真実を描く真の文学にならないから。
(別解)最も純粋な文学たる童話が描こうとする赤裸な人生の内的真実は、現実と異なる点で、現実をリアリスチックに描くことは目的から逸れることになるから。
【復習問題】
本文38行目「あらゆる詩的なものは童話的でなければならない」とあるが、ここで「童話的でなければならない」とはどういうことか。次の文の空欄に当てはまる形で、15字以内で本文中から抜き出せ。(解答は最下段)
〇 [ ]ということ。
【解答】現実の世界とどこまでも対立する