【要約】
消費者として実体としての商品そのものを比較できない資本主義社会では、広告を媒体として商品が比較されるが、そこに見られる客観的対応物を欠いた差異は、商品の価値に帰着しえない広告自身の価値を生み出す。この過剰なる差異性ゆえに企業は広告活動をするわけだが、その点で本来商品について語る媒介としての広告は、それ自体商品となっている。これは一般商品の価値の尺度である貨幣が、同時にそれらの商品同様に需要の対象となるという関係と同じであり、そこには形而上学的奇妙さが見られ、またそれへの驚きが、広告についての真の考察と差異性を持った言説を作り出す。
【問1】
ア自明 イ競合 ウ還元
【復習問題】筆者は本文61行目で「いささかなりとも差異性をもった言説を作り出すはず」と述べているが、これは筆者の広告に対する考えが、どういうものであるということを言おうとしているのか。41行目の言語についてのソシュールの考え方と以下のキーワードを参考にして、以下の文を完成させよ。
ソシュールの「対立が価値を生み出す」という言説から、[ 70字以内 ]ということ。
《キーワード》広告 形而上学的奇妙さ 驚き 現代 広告に対する表面的な言説 対立 価値
【解答例】ソシュールの「対立が価値を生み出す」という言説から、[筆者の、広告が形而上学的な奇妙さに満ち満ちた存在への驚きを伴う考察は、現代の広告に対する表面的な言説に対立するものであり、価値がある]ということ。