2017第1学期『センター現代文』第1講河合隼雄「イメージの心理学」要約&漢字解答&復習問題

【要約】

自然科学の知は、人間と対象を切り離すことで得られた普遍的な知ではあるが、世界と自分との関わりをそれで説明することはできない。それは、科学の知が最初から主体を抜きにして得た客観的な知であるからである。それに対して神話の知は、人間に、それらの関わりに宇宙論的意味を見出させ、非合理ながら彼らの生活に気品をもたらすものである。現代人は、自らの貧しい生き方から脱却するためにも、自分にふさわしいコスモロジーを作り上げるべく各人が努力しなければならないが、そのためには自分の無意識の神話産生機能を働かせる一助として、古来からある神話や昔話を「非科学的」「非合理的」ということで簡単に排斥することなく、その価値を見直してみることが必要である。

 

【問1】

(ア)  普遍 ①符合 ②不朽 ③普及 ④負担 ⑤付随

(イ)  幼稚 ①知己 ②誘致 ③遅刻 ④稚魚 ⑤無恥

(ウ) 卑小 ①秘境 ②否認 ③非凡 ④卑近 ⑤避難

(エ) 指摘 ①好敵手 ②摘発 ③快適 ④端的 ⑤水滴

(オ) 排斥 ①敗退 ②廃絶 ③排気 ④背信 ⑤配慮

 

《復習問題》

問6 この文章の表現と構成・展開について、次の(ⅰ)・(ⅱ)の問いに答えよ。

(ⅰ)この文章の第1~4段落の表現に関する説明として適当でないものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

①第1段落の「人間は自分を対象から切り離して、客体を観察し」という表現の「対象」と「客体」はここでは同じものを意味し、その例として同段落で「太陽」が挙げられている。

②第2段落の「自然科学の知は『自分』を環境から切り離して得たものだから」という表現の、「自分」にかぎ括弧が付けられているが、これは他の箇所の「自分」と区別するためである。

③第3段落に引用されたユングの『自伝』の中にある「彼の生活が宇宙論的意味を帯びているのは」という表現は、インディアンの太陽とのかかわりに関する「確たる知」がその基盤にあることを示している。

④第4段落の「極めて貧困な精神」という表現は、第2段落の「自分は何のために~役に立たない」という表現と関係しており、前者の理由が後者にあることが示唆されている。

 

(ⅱ)この文章の構成・展開に関する説明として適当でないものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

①第1~2段落では、自然科学について述べ、第2段落後半で述べた自然科学の本質であり、かつ弱点と対立する内容を持つプエブロ・インディアンの宗教的信仰が、第3段落で説明されている。

②第3段落でユングの『ユング自伝Ⅱ』が引用されたのは、ユングがプエブロ・インディアンの生活に羨望を持っていたことを紹介することで、科学の知が近代人にもたらした誤りを第4段落以降で説明するためである。

③第5~6段落に説明されているように、近代人が自らの生活の中で存在意義を見失ったのは、第2段落にある自然科学の普遍性のためであり、これを捨てれば近代人のコスモロジーは復活すると筆者は主張している。

④近代人は自然科学の普遍性に依存しすぎたために神話や昔話の価値を見誤ったことが第7段落で語られるが、次の段落では昔の神話の復活でなく、人間の可能性から新たな存在価値の基盤を作るべきだと展開している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》

(ⅰ)②

(ⅱ)③