2015第2学期『センター現代文』第7講小林秀雄「鐔」要約&漢字解答&復習問題

【要約】

応仁の乱を境にし、太刀が打刀、つまり凶器に変じると同時に、そしてその一部である鐔も変化した。その鐔は実用本位のものに変わりつつも、またそこに平常心や秩序、あるいは文化を捜さねばならぬ人心の動きが影響し、鐔は単なる凶器の一部分品ではなくなり、やがては名工と呼ばれる鐔工が、様々な模様を鐔に施していく。鐔好きの間では、そうした鐔は信家や金家と相場が決まっている。どうしてそれらは、それほど人を惹きつけるのか。それは観念ではなく、眺めていれば鍛えた人の顔も、使った人の顔も見えてくるような風にある。そうした鐔の模様には、されこうべの他に五輪塔やら経文やらが多く見られるが、これは仏教思想の影響によるものではない。戦国武士達の日常生活に糧を与えていた仏教を理解するには、彼らの感受性を捉えなければならないが、説教琵琶のような当時の生活を反映した文化に触れることで、それが解ってくるような気がする。鐔は、平和な時代が来ると金工家が腕を振るう場所になった。しかしそこには面白さはなく、実用と手を握っているごく僅かな期間の鐔こそが興味深い。戦が無くなり、地金の鍛えもどうでも良くなって来れば、鐔の装飾は空疎な自由に転落する。鉄の地金に、鑿で文様を抜いた鐔を透鐔と言うが、この鐔の最初の化粧は、鐔そのものの堅牢と軽快があっての美しさである。ところで、高遠城址の桜を見に出かけた際に、茅野から杖突峠を越えて行く道にある諏訪神社の上社で、白鷺と五位鷺を見たが、その姿に鶴丸透の発生に立ち会う想いがした。

 

【問1】

ア 同僚 ①官僚 ②治療 ③受領 ④丘陵 ⑤清涼

イ 空漠 ①束縛 ②爆笑 ③砂漠 ④幕府 ⑤麦芽糖

ウ 伴奏 ①同伴 ②繁華街 ③搬入 ④頒布 ⑤重版

エ 空疎 ①疎遠 ②租税 ③措置 ④阻止 ⑤塑像

オ 森(深)閑 ①喚問 ②緩和 ③勇敢 ④歓喜 ⑤閑散

 

《復習問題》

《復習問題》

テキスト本文42~43行目に「信家も、これほど~惹きつけるか」とあるが、筆者によればそれはどのような理由からだと考えられるか。最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ(㊟解答は最下段。スクロールして確認のこと)。

 

①武田信玄の鐔師であった信家は、信玄の一字である「信」という字を貰ったという伝説が語られるほどの鐔師であったから。

②信家の鐔は瓢箪であり、何か明るさを醸し出していると共に、鐔の表情から信家の作であるのがはっきり分かるものだったから。

③鐔の模様が観念を離れた形で、それを眺めているだけで鍛えた本人である信家や、使った人の顔が見えてくるようなものだったから。

④乱世において、人が平常心を保つために何か一種明るい感じを鐔に求めたのに対し、信家がそれに見事に応えているから。

⑤花は桜という平凡な文句に敵し難いのと同様に、鐔は信家であるという評価は容易に覆しがたいと人々に思わせるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》