2015第2学期『センター現代文』第4講熊野純彦「差異と隔たり」要約&漢字解答&復習問題

【要約】

ことばの誕生を準備するものは、ことばに先立つ交流のかたち、生理的欲求とは隔てられたやり取りの形式にある。やがて子どもは「交話的機能」を最初の言語機能として身につけるが、それは話し手と聞き手の接触に関わり、会話の開始、持続、終始や、経路の確認などを可能にする。実はここに見られるような形式を、非言語的次元において、子どもは乳児の間に成人との社会的ゲームによって先取りし習得している。交話的機能がそのようなものであるゆえに、その原型は、触覚的次元に求められるとも言える。そして言語の発生の元は、言語それ自体に先行しながら、言語そのものと何らか地続きなものであるが、それはことばの韻律的なあらわれかたに見てとれる。こうしたことばの韻律的なあらわれかたは普遍的なことがらであり、そこに自らの声が他者の声と交じり合うという経験の原型が形作られる。こうした非言語的な音声のやりとりは自己目的的なものであるが、ことばが単なる手段、道具ではないことを考えれば、ことばによるやり取りにはこうした、目的-手段という枠組みでは捉えがたい面があり、その点でことばは交流のかたちそのものと言える。ことばが生まれ出ようとする場に身をおくことで、こうした既成の言語理解によって覆い尽くされていることばの側面に目を向けることが可能になる。

 

【問1】

(ア)  獲得 ①収穫 ②威嚇 ③改革 ④捕獲 ⑤企画

(イ)  提起 ①前提 ②丁寧 ③締結 ④訂正 ⑤堤防

(ウ)  喚起 ①緩慢 ②陥没 ③召喚 ④厳寒 ⑤勧誘

(エ)  胎児 ①胎動 ②安泰 ③賃貸 ④逮捕 ⑤隊列

(オ)  冗長 ①丈夫 ②冗談 ③過剰 ④譲歩 ⑤蒸留

 

《復習問題》

テキスト本文2行目で、筆者は「ことばが生まれ育まれていく条件をかんがえるためには、ことばにさきだつ交流のかたち」に注目する必要があると言っているが、その「交流のかたち」とはどのようなものか。次の①~⑤の中から最も適当なものを選べ。

 

①言語によるやりとりに先だち、お互いが交流の意志があるかどうかを確認することを目的としたもの。

②言語そのものと地つづきである次元で、皮膚を介した触覚的な経験によって交流をしようとするもの。

③ことばによるやりとり以前の、意味のやりとりとは異なる次元での、交流そのものを目的としたもの。

④必ずしも特定の相手に伝えたい情報があるのではなく、単にことばを不特定多数に発するようなもの。

⑤ことばを交わす行為それ自体によって、伝達内容を超越した内容を相手に伝えることを可能にするもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》