2015第1学期先取り学習『センター現代文』第6講鷲田清一「身ぶりの消失」要約&漢字解答&復習問題

【要約】

木造の民家を改修せずに高齢者用のグループホームとして使う施設では、人体の運動に合わせた抽象的な空間にあるのとは異なり、からだの動きが、空間との関係で、ということは同じくそこにいる他のひとびととの関係で、ある形に整えられている。身体は、まわりの空間への手がかりがあって、他の身体との丁々発止のやりとりも初めて可能になるという点で、こうした空間には「中身」がある。建築家の青木淳は、行為と行為をつなぐものそれ自体をデザインするような、まるで原っぱのような建築、つまりたまたま居合わせた子どもたちの行為の糸がたがいに絡まり合い、縒りあわされるなかで、空間の「中身」が形を持ちはじめるような建築を志すが、これはホワイトキューブのような無規定のただのハコという意味ではない。それは「使用規則」をキャンセルされた物質の塊が別の行為への手がかりとして再生する、「自由」を感じる空間でなければならない。一方で木造家屋を再利用したグループホームは、こうした「使用規則」はキャンセルされておらず、一見「自由」は限定されているようだが、そこで開始されようとしているのは、からだとものや空間との相互浸透関係による、別のひととの別の暮らしである。そしてその手がかりは空間に充満している。本来、住宅は「暮らし」の空間であり、そこで複数の異なる行為がいわば同時並行に行われることで、その空間を濃くしていたが、現代の住宅は用途別に切り分けられ、その結果ふるまいも切り分けられてしまい、空間の密度が下がってしまった。つまり「暮らし」あるいは「中身」を失った。しかしかつての木造家屋は、そこでいろんなことができるという可塑性を持ち、そこでは身体は、空間やもの、あるいはひととの関係で、そのふるまいを整える、もしくは身体のふるまいに気をやる機会がひとに与えられる。グループホームはそういう知恵を引き継ごうとしているのではないか。

 

【問1】

ア 挙措 ①準拠 ②去就 ③特許 ④虚実 ⑤暴挙

イ 塊  ①氷解 ②奇怪 ③皆目 ④団塊 ⑤懐古

ウ 更地 ①晴耕雨読 ②更迭 ③恒久的 ④厚遇 ⑤強硬

エ 充満 ①銃口 ②柔軟 ③追従 ④拡充 ⑤縦横 

オ 家計簿 ①原簿 ②規模 ③思慕 ④応募 ⑤墓碑銘

 

【復習問題】

本文101行目「からだを眠らせない」とはどういう意味か。次の①~⑤の中から最も適当なものを選べ(㊟解答は最下段なのでスクロールして確認のこと)。

①複数の異なる行為を同時並行におこなうことが強いられるために、身体を休める場面が欠落しているということ。

②からだが、空間やもの、あるいはひととの関係でひとりでにふるまいを開始し、またふるまい自体に気をやるなど行為をつないでいくこと。

③まわりの空間への手がかりが豊富なせいで、他の身体との丁々発止が頻発し、他のひととの関係がぎくしゃくすること。

④空間の「使用規則」や「行動基準」がキャンセルされていない分、自由のために身体が空間を編み直そうとすること。

⑤空間の可塑性は、そのなかにある身体に複数の行為を行わせ、身体を多型的に動き回らせることで高齢者に休みを与えないということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】