2015第1学期『青木邦容の基礎→標準現代文』第4講中西新太郎「文化的支配に抵抗する」要約&復習問題

【要約】

テレビによって生み出された大衆文化は、「お互いに無視しあう自由」を楯に、「言論・表現の自由」という理念で自らを正当化しながら情報を一方的に流すことを行ってきた。本来は弱者が強者に抵抗するときに使用する「戦術」であるこうした業は、今や大量生産、大量消費という形を介して権威的な存在をへと変貌している大衆文化を生み出すマス・メディアが、現代社会の権力と権威秩序の一端を担う位置へと変化している以上、そうした業を駆使することは、逆に相対的弱者である私たちに権力を振るうことになり、私たちの文化的「自由」を制約することになる。また「お互いに無視してよい自由」の中で、なおかつ自らの言論に影響力を持たせるには、発言の主体である「自己」の影響力を強めるのが一番有効な方法である。「自己」に何らかの説得力をもたせることで迂回的にその言説の影響力を強める話法を、「自己語り」の形式とした上で考えれば、それに巧みであることは、語られること自体の説得力や衝撃力と並んで、もう一つの影響力を持つことになる。こうした一人の人間の感じ方にすぎないという出発点が、いつのまにか逆転し、多くの人間の共感を呼ぶようになることも、マス・メディアの中で急速に一般化してきている。

 

《復習問題1》

テキスト本文5行目から6行目「枕詞を用意しておいて語り出すのが現代の大衆文化に行き渡った話法なのである」とあるが、「現代の大衆文化に行き渡った話法」とは、どのような話法か。最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ(㊟解答は最下段にあるのでスクロールの上、確認すること)。

①自らが相手よりも卑小な存在であるために、相手から強い影響を受けたり他と同化したりすることを何よりも恐れて、自説に固執する話法。

②自らがもともと卑小な存在であるので相手からの反発や挑発には抗しきれないことを自覚し、説得を諦めたような投げやりな話法。

③自らが社会的に卑小な存在であるがゆえに相手の心を自分の方に引き付けようとして、強い調子で信念を持って相手に語りかける話法。

④自らが何よりも卑小な存在であるのに相手の心を全く理解しようとせず、しかも自分らしさが受け入れられねばならないとする話法。

⑤自らが誰よりも卑小な存在であるかのように相手にわざと見せながら、実は相手の考えや立場などを無視して自説を述べる話法。

 

《復習問題2》

本文40~42行目「大衆文化が・・・相手がもっていない権力をふるうことになりはしないか」とあるが、ここでいう「権力をふるうこと」とは具体的にはどのようなことか。最も適当なものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。

①大衆文化が、大量生産のかたちを取ること。

②大衆文化が、開き直りを「戦術」として用いること。

③大衆文化が、「体臭」文化になって臭いこと。

④大衆文化が、情報を一方的に流すこと。

⑤大衆文化が、言論・表現の自由という理念を持ち出すこと。

⑥大衆文化が、「高級-低級」という文化秩序を崩すこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答1》

《解答2》