2015夏期『上智大現代文』第3講佐藤信夫「レトリック・記号etc.」要約&復習問題

【要約】

私たちの不断のことばづかいのなかには、人間の身体に関する語彙の比喩的な用法が多い。私たちの言語の数は有限であるのに対して、自然界のものごとは無限の様相を見せるために、人間は自分の身体ないしはそれに準ずるものに優先的に配分した語を、森羅万象を表現するのに比喩的に流用したのである。ところでそういう意味で、「目」は鼻や口や耳と同様に明らかに身体の一部であり、比喩を提供する場合が多いのだが、それに対して身体の延長とも言うべき「視線」は、視線以外のものごとを言い表すために比喩として用いられることのきわめてまれな語であり、みずからの生態を表現するのに、ほかのことがらに関わることばづかいを比喩的に借りたがるようである。

 

《復習問題》

テキスト本文24行目に「近ごろ私は『視線』にいささか興味をいだいている」とあるが、その理由として最も適当なものを次から選べ(㊟解答は最下段。スクロールして確認のこと)。

a 吉行淳之介の小説「手鞠」が「私」を感心させる表現を含んでいたから。

b 身体の延長である視線も、身体同様に比喩の有力な供給源だと考えたから。

c 身体の延長であるのに、比喩になるより自らを表すのに比喩を借りたがるから。

d 「視線」が身体に属するのかそうでないのかに非常に関心が持たれたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《解答》

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