2014第1学期『医系小論文』第8講【MEDICAL☆KING】 EXと解答

【MEDICAL☆KING EX】(㊟解答は最下段)

【Q1】

「患者と医師の間に流れる大きな河」12行目「医師の独善のみで医療が行われること」を一般に何というか。

 

A ムンテラ

B パターナリズム

C パーソナルメディシン

 

【Q2】

「患者と医師の間に流れる大きな河」16行目「疾患分布が感染症などの急性疾患から慢性疾患へ移行してきた」とあるが、その原因として正しいと考えられるものを次から選べ。

 

A ライフスタイルの欧米化と高齢化、及び医療施設の不足、予防医療へのシフトの遅れ。

B タバコ、アルコール、加工食品の蔓延と教育の不徹底及び運動不足、医療の高度化。

C 上下水道の整備、消毒、検疫、患者の隔離、予防接種等の社会環境の整備の不徹底。

 

【Q3】

「将来疾病を発症する可能性の高い個人を抽出し,抽出された個人に対して予防法を提供する戦略的方法」を何というか。

 

 【Q4】

厚生労働省が推進する21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)における基本理念の大きな根幹となっている、地域や学校など集団全体として発症を高める要因をコントロールする方法を何というか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

Q1.B Q2.A Q3.ハイリスクストラテジー Q4.ポピュレーションストラテジー

【参考】

小さなリスクを負った大多数の集団から発生する患者数は、大きなリスクを抱えた小数のハイリスク集団からの患者数よりも多いという点(予防医学のパラドックス)で、これまでのようなハイリスクストラテジーだけの予防医学ではなく、ハイリスク・ストラテジーとポピュレーション・ストラテジーの組み合わせが重要であることが分かる。集団全体に対して多大な恩恵をもたらす予防医学も、集団を構成する個人個人への恩恵となると少ないからだ。多くの人が、ほんの少しリスクを軽減することで、全体には多大は恩恵をもたらすのである。

【Extra-Self Check!!】《解答例》

 医療=サービス業であるという意識が過剰なまでに働いて行き着いた先が「患者様」現象だとすると、それは患者を医師や看護師=病院の上に位置させたことを意味する。たしかにサービスとは主従関係を伴うが、医療の究極目標である「患者中心の医療」には、患者の最善となるような決定を「共同作業」できる関係が不可欠である。その点で主従関係であり、かつ一時的な関係しか築けない「サービス」は医療には不適切である。「医療不信から『さん呼びでよい』と嘆く」患者の存在は、患者の「違和感」と、それに伴う医療者への萎縮も意味する。ならば「患者様」と呼ぶことは、患者―医師関係を対等に保つことの障害になることは明白であろう。

2014第1学期『現代文読解』第8講(問題番号は7)山室静「植物的生活から」漢字解答&記述解答と別解&復習問題&要約

【問1】

ア悲惨 イ適齢 ウはんさ エ事態 オ飛躍

【要約】

 現代の児童文学者は、アンデルセンの「モミの木」に代表されるような、悲惨な結末を持つようなお話を書かない。その結果、現代の児童文学は、明るく楽しい、子どもだけの世界を扱うものになってしまったが、元々、童話は子どもではなく、むしろ大人のためのものだったとして良いような、一般の文学と同じような内容を持っていた。それは縮図としての人生を描いたものであった。たしかに童話的表現はリアリスティツクではないとされるかもしれないが、それは人生の内的真実を象徴的に描いているからである。また、元々が教養ある貴族やインテリ層とは異なる素朴な人たちの中から生まれ、またそういう人たちを読者にしたことから、独特な童話的表現を発達させたという側面もある。いずれにせよ、それは真実を捉えており、決して子どもだましのようなものではない。ドイツ浪漫派の詩人ノヴァーリスは、そうした童話の高い意義を見出し、また童話の世界が文学の基準であるとして、その手法に触れている。彼によれば、「現実」の世界は真の文学と、その内容において食い違っているために、文学の基準となる、最も純粋な文学である童話は、当然、「非現実」の方法を用いて生の真実を描くために、幻想的に見えざるを得ないというのだ。

 

【問5】

現実の世界は、昔話や童話が描きたい生の真実と食い違っており、現実をリアリスチックに描いても、赤裸々な人生の真実を描く真の文学にならないから。

(別解)最も純粋な文学たる童話が描こうとする赤裸な人生の内的真実は、現実と異なる点で、現実をリアリスチックに描くことは目的から逸れることになるから。

 

【復習問題】

本文38行目「あらゆる詩的なものは童話的でなければならない」とあるが、ここで「童話的でなければならない」とはどういうことか。次の文の空欄に当てはまる形で、15字以内で本文中から抜き出せ。(解答は最下段)

〇 [                       ]ということ。        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】現実の世界とどこまでも対立する

2014第1学期『青木邦容の現代文』第7講保坂和志「世界のはじまりの存在論」要約&復習問題

【要約】

構造主義は言語を“完成されたもの”と考え、たんに“差異の体系”として人間に与えられたものとしたが、そもそも人間の肉体という基盤がなければ、言語は発生しなかったし、人間のものにもならなかった。その点で言語には、肉体や存在することのリアリティが息づいており、それを発見し直す必要がある。人間にも動物のような、言語に先行することのリアリティがあり、その意味で自然との連絡を一切無くしたという構造主義的な思考は、科学性を欠いた迷信や独断である。現にわれわれ人間は、自然も、恋愛対象も、そして親子関係そのものも、“差異の体系”の外にあることを、言語的な認識力や理解力以前に認識している。その点でも人間の肉体が言語に先行して存在したことは明らかであり、それこそが肝心なことなのである。

【復習問題】

次の中➀~④の中から「差異の体系」を説明したものとして適当なものを選べ。(解答は最下段)

 ➀実存とは、他の誰かと置き換えることのできない、かけがえのない自分自身であるが、そのような存在が可能なのは、各々の人間の価値を認めることのできる神との関係でしかあり得ない。

②現実の言語活動では、辞書に載っているような意味が既に決まってしまっている言語を使っているわけではなく、言語は他人との関係の中で、その都度、使用者の思惑を超えて意味が決まっていくものである。

③われわれ人間は、言葉を使用する際に、その言葉の意味の中に、他の言葉や意味を思い浮かべることで、その元の言葉の意味を理解する。

④言葉というものは、すでに客観的に存在する事物の秩序に、わたしたちが記号によって名前をつけていったものではなく、むしろ、そうした事物の秩序は、人間が言葉によって恣意的に編み上げたものである。

 

 

 

 

 

 

 

【解答】④

2014第1学期『現代文読解』第7講(問題番号は6)原研哉「シンプルはいつ生まれたのか」問7 漢字解答&記述解答と別解&復習問題&要約

【問1】

問1 ア探求 イ長ける ウ需要 エ逸話 オ魅惑

 

【要約】

□中国の青銅器は、その端緒から複雑な形をなし、精緻な文様でその表面が覆われていた。簡素から複雑へと向かうはずの人間の造形に反して、最初から複雑さを目的として探究されたのには訳があった。複雑さは集団の結束力を維持するための強い求心力の表象であった。青銅器は畏敬の対象となる力の表象であったのだ。ヨーロッパでも事情は同じであった。絶対君主の力が最も強かった時代は、バロックやロココといった装飾をとめどなく横溢させる様式が絶頂を極めていた。世界が「力」によって統治され、「力」がせめぎあって世界の流動性を作っていた時代には、文化を象徴する人工物は力の表象として示されていたことが分かる。しかし近代社会の到来と共に、世界が、人間が幸福に生きる権利を基礎とする社会へと舵を切ったことに合わせて、物は力の表象である必要が無くなった。物と機能との関係の最短距離が志向される合理主義的思考の時代である。19世紀以降たしかにここが複雑からシンプルへの変換点だという現象は見当たらない。しかし、モダニズムとは、ものが複雑からシンプルへと脱皮するプロセスそのものであり、その中でシンプルという価値観が人々に新たな理性の灯りを灯し始めたのは19世紀中葉であろう。世界は今もシンプルという中軸をたずさえて、この瞬間も動き続けている。

 

【問5】

(最も書きやすい解答)集団の結束力を維持する求心力を示すのに、見る者に畏怖を与える必要があったから。(39)

(別解・許容解)

〇集団の結束力を維持する畏敬の対象となるよう、眼に訴える形で求心力を顕現するため。(38)

〇精緻と丹精を可能にする強大な力を顕現させて、威圧と畏怖を見る者に与えるため。(38)

 

【復習問題1】

本文では「簡素」という意味を持つ言葉として「プリミティブ(原初的)」と「シンプル」という二つの表現が登場するが、筆者の主張から考えると、この二つの言葉の違いはどういう点にあるか。40字以内で表現せよ。(解答は最下段)

【復習問題2】

以下のカタカナ部分を漢字に直せ。

➀哲学を勉強して真理をタンキュウする。

②警部は事件の真相をタンキュウされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

【復習問題1】

シンプルは、簡素なだけのプリミティブと異なり、新たな理性を人間にもたらした。(38)

【復習問題2】

➀探究

②探求