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2014第1学期『青木邦容の現代文』第3講(設問番号は4)鈴木克美「水族館への招待」要約&復習問題

【要約】

昭和四十六年の春に、初めてヨーロッパの博物館と水族館を見学した時、そこで見学する人々の態度に大いに感心した。設備内容や展示の工夫は、日本で見た感じのものが多く、新味が感じられなかった反面、大人や子どもの見学者が、何のためにそこにいるのかを理解しているという彼らの見学態度に、文化の成熟度を感じた。ところで少なくとも我が国では、水族館と動物園と自然史博物館の間には、大きな距離がある。たしかに歴史的に水族館は、珍しいもの、美しいもの、非日常的なものを集めて、それらを観賞してもらう場として発展してきた。しかし、それによって代価をとったり、地球上に存在する珍しい生き物を紹介している点では博物館と同じである。しかしそこで「驚き」や「感動」を与えて終わるのではなく、そうした自然の造化の不思議さが持つ魅力を分析し、理解してもらうのが、博物館としての水族館の活動である。自然科学の役割が、自然の秩序と法則の発見と説明ならば、水族館も科学のきまりに従って、それらを取り出して見せたり、説明すべきである。また美術館が、人類の芸術活動の過程を紹介し、そこから感動を得る場であるならば、水族館は生きものという自然の存在を取り出して、その存在から得る感動を紹介する場だと言える。そこから一歩踏み込んで、博物館としての水族館は、生きる喜び、生命の尊重、自然の恩恵などについての思想を語り、理解を求めることができるはずである。その点で水族館は、美術館と自然史博物館の、両方の機能を併せ持つ場所であり得るのではないか。

【復習問題】16行目「自分がはずかしかった」とあるが、筆者がこのように感じたのはなぜか。その理由を80字以内で説明せよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

A:ヨーロッパの博物館と水族館の見学者に見られる、本来の見学態度に感心するということは、日本におけるそれらの見学態度の未熟さに慣れてしまっていることになるから。

2014第1学期『センター現代文』第2講岩井克人「資本主義と『人間』」要約&復習問題&漢字解答

【問1】

  (ア)蓄積 ①増築 ②逐語訳 ③含蓄 ④竹馬 ⑤牧畜

  (イ)扶助 ①扶養 ②赴任  ③布石 ④交付 ⑤不測

  (ウ)滞留 ①滞る ②怠る  ③替え ④耐える⑤袋

  (エ)従事 ①充足 ②服従  ③安住 ④縦断 ⑤優柔不断

  (オ)枯渇 ①活力 ②渇望  ③一喝 ④割愛 ⑤包括

 

【要約】

フロイトによれば、人間の自己愛は過去に三度ほど大きな痛手を被ったという。つまり、人間は自らが中心であると思っていた世界から追放されたわけだ。しかし資本主義の歴史を振り返れば、もう一つの傷があることに気付く。「ヴェニスの商人」に象徴される商業資本主義は、あくまで差異が利潤を生み出すとしたが、現在進行中のポスト産業資本主義においても、差異そのものである情報を商品化して利潤を生み出している点で、同様の資本主義の原理が見られる。それどころか、経済学が、労働する主体である人間を利潤の源泉であると説いた産業資本主義においても、結局は労働生産性と実質賃金率との間の差異を媒介にして利潤を生み出していた点で、「ヴェニスの商人」は内在し続けていた。その意味で、資本主義の歴史において人間が富を創出する主体としてそこに存在することは一度もなかったことになる。これが四番目の傷の正体である。

 

【復習問題】次の各問について、テキストと講義内容を参考にして答えよ。㊟解答は最下段。

《問1》テキスト4行目「フロイト自身の無意識の発見によって自己意識が人間の心的世界の中心から追放された」とはどういうことか。次の中から適切なものを選べ。

①無意識の領域の発見によって、人間とは自己意識を持ち、その意識の主人として自由に行動できるという考えが否定され、常に無意識に支配された弱い存在であるということがわかったということ。

②無意識の領域が発見されたことで、人間の心の中の構造が判明し、そこにはそれまで人間の心的世界の中心と考えられていた自己意識は存在しないということがわかったということ。

③人間の自己意識、例えば自我が、人間の行動に大きく関わっていたと考えられていたことに替え、人間の行動には無意識の存在が大きく関わっていることが分かったということ。

④人間は、意識的な自我のエネルギーに従うだけのものでなく、無意識下のエネルギーがそこに加わって、はじめて人間の持つ様々な可能性を現実の行動に移せるということ。 

《問2》78~79行目「差異性という抽象的な関係の背後にリカードやマルクス自身が措定してきた主体としての『人間』とは、まさに物神化、いや人神化の産物にほかならない」を説明した次の文を完成させよ。

リカードやマルクスといった経済学者は、あらゆる商品の( A )は、その生産に必要な労働量によって規定されるという労働価値説を唱え、利潤の源泉を労働する主体としての( B )に求めていたが、実際は、商品の価値を決定し、利潤を資本家にもたらしていたのは、決して人間の( C )そのものではなく、都市と農村の( D )であり、農村の過剰人口が都市に流入することで( E )を抑えたことが利潤の源泉であったということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

問1 ③

問2

A 交換価値

B人間

C労働

D人口の差(人口差)

E実質賃金率

2014第1学期『青木邦容の現代文』第2講(設問番号は3)滝浦静雄「時間―その哲学的考察―」復習問題

【復習問題】 次の要約文を読んで、後の問に答えよ。㊟解答は最下段。

 われわれの日常的な経験からすれば、時間の流れ方には違いがあるように感じられるが、それは( A )な感じ方に過ぎず、本当の客観的時間は、時代や場所を越えた( B )なもののはずである。常識から言ってみても、時間は全宇宙的な普遍の流れを持つものであり、また不可逆なものである。ニュートンはそのことについて、常識的時間の各部分の順序は不変でなければならないとしたが、このような( C )こそが、われわれの人生において時間が重視される理由であり、それは人生の重大事が〈取り返しの付かないことがら〉として、時間的問題を含むことからも理解できる。ハイデガーは「死」を、実存の( D )としての「終末」としたが、彼の、「死」を「現存在が絶対に不可能になることの可能性」として「最も極限的な可能性」と呼ぶ考えの前提にも、時間の不可逆性が前提されていた。したがって時間は様々な事物の運動や生成・消滅など、一般に変化と呼ばれるものの原理でなければならない側面を持つ。時間が物のような形で他の物に働きかけることはあり得ないが、われわれは少なくとも時間を介さずに変化を考えることはできない。この世の全ては「無常」であるが、やはりこのように言われるのも、時間があらゆるものを変化させていく原理だという考えが背景にあるからである。

 問1      空欄A~D入る言葉をテキストから抜き出して書け。

 問2      傍線部「最も極限的な可能性」を説明したものとして適当なものを次の中から選べ。

        ①    人間が選択できる様々な可能性のうち、人間にとって最も重大時である「可能性」。

        ②    人間にとって数ある中から選ばれた、他の可能性と比べて、最高の価値を有する「可能性」。

        ③    人間がそれ以上の可能性を、その先に選択することを許されていない「可能性」。

        ④    人間にとっての可能性の連鎖の一つであり、人間の存在を可能にしている根本的な「可能性」。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

問1

A 主観的

B 絶対的

C 不可逆性

D 存在可能性

問2

2014第1学期『現代文読解』第2講山崎正和「日本文化と個人主義」復習問題&漢字解答

【問1】 ア野蛮 イ規定 ウ愉快 エ掲 オ折衝

【復習問題】 次の要約文を読んで、後の問に答えよ。㊟解答は最下段。

 □自らの生活様式だけが文化であり、それ以外は野蛮と考え、自らの生活様式を中外に施してもとらないとする文化観の古典的なかたちは近代以前から存在し、近代以後は、それは植民地への宣教や民族間の戦争を支える理論として使われた。この大国主義的文化観は、自らの文化を固有性を持ち、かつ普遍性を持つものとしているところに特徴があるが、これは明らかにその論理が矛盾している。これに対し、同じディレンマを逆の方向に解消しようとしたのが現代人類学の文化相対主義的な文化観だが、その根底にはあらゆる文化の特色を等し並みに認めるという考えがあり、これはこれで決定的な矛盾を含んでいる。というのも文化の自立性の根拠をどこに置くかが分からず、結局、文化の自立性を徹底的に純粋化し追究していけば、文化の自立性を認めるはずが、かえって文化の観念そのものを崩壊させてしまうことになるからである。つまり〈  X   〉わけである。とするならば、我々が文化の観念を認めるならば、どうしてもそれが一定の普遍性を目指すまとまりであり、他の文化に影響をあたえるような存在であることを、やはり認めなければならない。しかし、我々は、そうは考えつつも自文化の固有性の正当性を信じ、少なくとも他の文化からの影響を不愉快だとも感じている。その誰もが持つ自文化に対する素朴な感情は、無意識の拡張主義につながりやすい性質を持ち、自文化こそが正当であるが故に普遍性を持つという誇りに直結しているために、文化観のディレンマは深刻である。

 問1    傍線部「ディレンマ」を、以下の空欄に適切な表現を補う形で説明せよ。

 ここで言うディレンマとは、本当の文化は人類にとって本質的で( A )なものであるはずなので、そうした文化を持っていない国は、劣ったものであるという考えに潜む「( B )」のことである。なぜなら普遍的なものは全ての文化に存在するはずなので、そこに文化の「( C )」は存在しないはずであるからだ。

 問2    空欄Xに入る表現を次から選べ。

  1.個人の癖や生活習慣を文化と認めなければならないことになってしまう

 2. 文化の相対化は結局、文化の観念を否定することになってしまう

  3.文化の相対化が行き詰まり、結局は元の大国主義的文化観を認めてしまう

  4.文化を人工的で恣意的なまとまりとし、その存在を否定してしまうことになる

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

問1

A普遍的

B矛盾

C優劣

 

問2

2

2014第1学期『センター現代文』第1講加藤周一「文学とは何か」復習問題&漢字解答

【問1】

(ア)還元 ①甘受 ②換算 ③環境 ④還暦 ⑤鑑定

(イ)光沢 ①選択 ②潤沢 ③開拓 ④邸宅 ⑤委託

(ウ)素朴 ①灌木 ②放牧 ③純朴 ④公僕 ⑤水墨

(エ)領域 ①魅了 ②同僚 ③丘陵 ④力量 ⑤要領

(オ)当事者 ①事 ②自ら ③示す ④治める ⑤時

【復習問題1】

次の文章は本文の『要約』である。テキストを参照しながら空欄に当てはまる言葉を以下の選択肢の中から選び、『要約』を完成させよ。㊟解答は最下段。

.経験を( A )する科学的な経験と経験の( B )を強調する文学的経験ははっきり区別されるが、同じように、それらを文学的な面と科学的な面といった、双方を含む( C )から区別することはできない。しかし世界の全体を意味づけたり、含んだりする科学的経験や文学的経験は、世界の( D )にかかる日常的経験とは( E )に異なる。

①質的 ②普遍性 ③捨象 ④具体性 ⑤日常性 ⑥量的 ⑦日常生活 ⑧部分 ⑨抽象化 ⑩経験性 

⑪内容

【復習問題2】14行目『梶井基次郎の「レモン」の経験』の特徴はどういうところにあるか。本文中の言葉を抜き出して15字以内で答えよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【復習問題1】

A⑨

B④

C⑦

D⑧

E①

【復習問題2】

具体的で特殊な1回限りの経験

 

 

2014第1学期『現代文読解』第1講加藤周一「日本文化における時間と空間」復習問題&漢字解答

【問1】ア 典型 エ 挙げる オ 等価 キ 還元 ク 融合

【復習問題1】次の文章は本文の『要約』である。テキストを参照しながら空欄に当てはまる言葉を以下の選択肢の中から選び、『要約』を完成させよ。㊟解答は最下段。

日本文化の中で「時間」の典型的な( A )は、一種の現在主義である。それは日本の文学的伝統や日常生活の習慣にも見られ、始めなく終わりない時間である。またそこにあるのは現在あるいは「今」だけだという意味で、もう一つの表象として循環する時間が挙げられる。循環する時間は、過去、未来、全ての時間の( B )を意味する。
そうすると時間の「全体」は、現在=今が無限に連なる直線、あるいは無限に循環する円周であると言える。これは日本文化の伝統が強調する( C )が、全体に対する部分重視傾向の一つの表現と解することもできる。ここでは部分が集まると全体が現れる。
また「空間」においても、私の住む場所=「ここ」、つまり部分が先ず存在し、その周辺に外側空間が広がる。その外側の全体は、日本の伝統では強い関心の対象ではなかった。一人の人間は多くの異なる集団に属するが、それぞれの集団領域を「ここ」として意識し、その「ここ」から世界の全体を見る。
 こうした部分が全体に先行する心理的傾向の時間における表現が現在主義であり、空間における表現が共同体集団主義である。こうした日本の全体に先行するものの見方は、「今=ここ」文化として今も根本的に変わってはいない。

①構造化 ②表象 ③重層化 ④秩序化 ⑤現在集中主義 ⑥特徴 ⑦反映 ⑧現代化 ⑨共同体集団主義 ⑩全体主義

【復習問題2】次の中から本文中に登場した「現在主義」に関連した例文として適切なものを選べ。

A現在は過去の集積であって、また未来の出発点でもあるために、現在の充実が全ての時間における充実につながる。

B現在も過去も自然法則は普遍性を持つと考えられるために、現在起きている現象で過去を説明することは可能である。

C氷は、放置しておくとどんどん溶けて変化し、やがては水に還元されるが、その変化の段階の一つ一つが部分として氷という全体を構成していると考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

【復習問題1】

A②

B⑧

C⑤

 【復習問題2】

B

2014第1学期『青木邦容の現代文』第1講佐藤信夫「レトリックの記号論」復習問題

【復習問題1】次の文章は本文の『要約』である。テキストを参照しながら空欄に当てはまる言葉を以下の選択肢の中から選び、『要約』を完成させよ。㊟解答は最下段。

記号論における《コード》ということばは、もとは書く材料としての板を意味する《コーデックス》ということばをその起源とするが、やがて《コーデックス》は、文字、書かれたものを意味するようになり、そして書かれている内容、書物、書き物一般をも指すようになった。文字で書かれたものは立派に見えるということから、コーデックスの子孫である《コード》は、法律、規則という意味を持つようになったが、《コード》が単なる規則や法則と違うのは、それが( A )されておらず、また文化的な現象の法則性のようなものまで指す点である。ここで言う文化は、ある人間集団の共通した生き方、生活の仕方のことを指すが、そこにはその集団だけに通用する( B )のようなもの、つまり《コード》が生じる。その点で文化とはコード的な現象であると言える。人間が自覚、無自覚を問わず、文化を共有出来るのは、言語という《コード》のおかげである。

①抽象化 ②普遍化 ③明文化 ④認識 ⑤ルール ⑥非文化的 ⑦文化の概念 ⑧コード的現象 ⑨理解

⑩シンボル

【復習問題2】

①特許権は( X )な強い権利であるから、この権利が有効に活用されるには、あるものの特許を他が侵害した場合、その使用を強制的に有無を言わさず停止させることができる。

上記の( X )には、自分に関わるもの以外のものを退けるという意味の言葉が入る。どういう言葉を補えば良いか。テキスト本文、設問(選択肢含む)から抜き出せ。

②我々は、本質的には連続する世界を、言葉によって( Y )的に「分節」(分類)している。

上記の( Y )には、気ままで自分勝手なさま、論理的な必然性 がなく、思うままにふるまうさまという意味の言葉が入る。どういう言葉を補えば良いか。テキスト本文、設問(選択肢含む)から抜き出せ。

 

 

 

 

 

 

【解答】

【復習問題1】

A③

B⑤

【復習問題2】

①X 排他的

②Y 恣意

2014春期講習会『センター現代文』第4講伊藤桂一「遡り鮒」解説(三変+R対照表)&解答

【解答プロセス】伊藤桂一「三変+R」 ➔クリックして展開して下さい。

1.㊟➔前書き➔本文と読み進みながら、イメージのように「三変+R」を取る。

文中《  》内がRです。ただし「ぼくは妹がすべてを~悲しませた」の部分はR1に一部Mが重なってます(戦争体験が書かれているため)。

 

伊藤桂一「三変+R」 伊藤桂一「三変+R」2 伊藤桂一「三変+R」3

2.問6から解答していく。

①「自身の不安の根源が戦争にあることがつきとめられ」が✖。三変やRからも推理できる内容ではない。

②前半はM、「安堵」に関してはテキスト36行目で確認できる。後半は変2+R2を見れば明らか(推理の必要もない)。正解である。

③「妹と心が通じ合わない」の部分は27行目以降のR1ですぐに間違いだと分かる。

④前半後半共に間違い。前半は「母の姿に生命の純粋さを感じた」とあるが、本文34~37行目を見れば分かるように「ぼく」が感じたのは、「人間のもっとも純粋な生き甲斐」であって、またそれも「母の姿」ではなく、「母と妹」の寝姿に感じているのである。後半は鮒の姿と妹の姿を重ね合わせている部分が、✖。

⑤前半後半共に書かれていない。✖。

3.問5に移る。ちょうど傍線部Cが変2(ここは変化=「ぼく」の心情の変化)なので、R2との対応関係から解答をイメージする。関係式を書くと「爽やかな感動+生きるための活力の尊さ」ー鮒が何の疑いも恐れもなく、ただ川を遡っていく姿ー鮒の姿に触発され、自身の生きている世界がどうであれ、ただ鮒のように自身のひとすじの道を遡っていくことだ(決意)ー人間を支えているのはささやかな生命感だ➔全ての要素を重ねてみる➔「鮒の懸命に川を遡る姿を見た➔その生命感に何かを感じた➔世界が暗くてもただ懸命に生きていれば良いということを感じた(思った)」となる。この解答のイメージに合うのは③しかない。

4.まず次を見て欲しい。

設問内容が以下❶~❺のパターンに合致する場合、まず全て「内容一致問題」の要領でアプローチする。

 

❶傍線部内の「表現」の本文に与える「効果」「影響」に関する設問。㊟ 「表現の特徴」はまず「傍線部解釈」するこ

と。

 

❷複数の傍線部、波線について、まとめてその内容について答える設問。

 

❸傍線部だけでなく、それまでの内容や、あるいはそれ以降の内容も含めてきくもの、またある一定の範囲についてきく設問。

 

❹例えば-例)傍線部C「いまや、現実が(あるいは夢が)彼のつくりごとをそっくりそのまま模倣しだしているらしいのである」とあるが、この場面の説明として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。(2000年センター本試験「鼠」堀辰雄著より抜粋)-のような場合に見られるように、傍線部を含めた「場面」について、その内容を問う設問。

 

❺傍線部を設定して、あるいはある特定の事柄を訊くなどしながらも、「本文全体」を意識して答えることを求める設問。

 

 今回のパターンは上記、❷に該当する。よって「内容一致問題」としてあくまで表現ではなく本文で確認できる「内容」で選択肢を選んでいく。

①前半の説明は39~44行目のM(前書き対応)、及び51~58行目のMで確認。後半は問5で見た変2+R2で確認。これが正解。

②前半、「何事もなく~」が前書き、M、変1+R1に合わない。

③『復員してきた時に感じた「ぼく」の心を圧迫する存在としての水』が、51行目からのMに合わない(圧迫を与える存在は「鬱蒼と繁り合っている樹々」である)。

④39~44行目のM(前書き対応)、及び51~58行目のMから「ぼく」の「現在の生活に満足できない⇔これまでの人生を肯定したい」という葛藤は読み取れない。

⑤「母から安らぎを得たい」・・・爆笑選択肢である。✖。

問3 傍線部Bの直前が変1なので、変1+R1で解答に必要な要素=コアやアウトラインを「推理」する。合成するとー「妹の絵ー不思議な意味ーお守りにすがる妹に、軍隊経験が重なり、妹が「いつ死ぬかも知れない」という思いで認識票を大切にしている兵隊のように、生死の境目にあっておびえているという印象を受けるー妹の姿を見ていると、回復しているということを知りながらも、一抹の不安を拭えない」ーとなる。ここから解答のイメージを作ると、『妹が観音様の絵を描く姿や、お守りにすがる姿を見て、妹の不安を感じると共に「ぼく」も妹が回復しつつあると知りながら不安を拭えない」となる。つまり「ぼく」は以上のような説明にある「不安」を感じながら妹の絵を見ていたというわけである。これに近い選択肢は―⑤だ。①は「明るい~判断できない」で✖。②は「絵の稚拙さ」で✖。③は「救いの予兆」や「不安と救い~葛藤」という部分が✖。④は「不可解さ」ではなく「(妹の)不安と祈り」を同時に感じたのであり、「妹と心が通じ合えたら」という祈りの部分も、そもそも妹の祈りでないといけない。「ぼく」が~できたらと祈っているのではない。

5.問2 傍線部AはM及びR1の箇所なので、これまでと同様に設問に合わせて解答のコアやイメージを推理する。これは問3で考えた『お守りにすがる妹に、軍隊経験が重なり、妹が「いつ死ぬかも知れない」という思いで認識票を大切にしている兵隊のように、生死の境目にあっておびえているという印象を受ける』というのを思い出して欲しい。このようなイメージから解答は「妹のお守りと兵隊の認識票が重なって見えることで、兵隊同様に、いつ死ぬか分からない状況に妹があるように思えてしまうから」となる。これに合うのは④しかない。

【解答】問1 ア② イ⑤ ウ③ (4点×3)➔「フジコの法則」でやってみよう!

     問2 ④ (7点)

     問3 ⑤ (8点)

     問4 ① (8点)

     問5 ③ (7点)

     問6 ② (8点)

 

 

 

2014春期講習会『現代文』第4講池内 了「疑似科学入門」解答&解説

【解答プロセス】

1.問6のチェック➔「現代」というワード以外に、さしてヒントはとれない。

2.6段落あたりまでを「前半」と(仮に)意識し、そこまでの「処理」を行う。

3.段落毎に内容を押さえ、設問があれば、その段落を読み終わった時点でとりあえずアプローチ。

4.問2 空欄Ⅰ 「一文」で捉えると「であるからこそ~」から始まっているので「であるからこそ」の上、つまり理由を探る(=因果関係パターン)。すると「メディアの情報は正しいとは限らない➔しかし私たちはメディアからの情報に頼らざるを得ない」という内容が捉えられる。ここから空欄の中身を「推理」すると、「(メディア情報は正しくないかもしれないが、情報収集をメディアに頼るしかない我々はどうすれば良いか➔)メディアの言うことを「疑って」受け取らないといけない」という風に考えられる。選択肢を見ると・・・イが正解。

5.問3 コアを取ってみよう。「一文」で捉えると「そのためか」の「その」の内容が必要であることが分かる。しかも「そのため」は「因果関係」を表す。「その」は結局、「テレビの情報を、私たちが鵜呑みにしてしまう傾向にある」ということだ。そこから傍線部の理由を「推理」。傍線部は要は政治家がテレビを意識して政治活動を行うということが書いてある。なぜ、テレビを意識するのか➔皆がテレビからの情報を「鵜呑みにする」=信じる、信用するからだ。この「コア」を選択肢に探すとイしかない。

6.問2 空欄Ⅱ 「一文」で捉えると「その結果」とあるので、またまた「因果関係」から空欄に入る言葉を推理すれば良い。「その結果」の直前には、人々が自分から「真実」を求めようとせず、与えられた情報だけを信じて何も考えずに、物事を見かけだけで判断するようになるーというようなことが書いてある。一種の「思考停止」状態だ。その結果どうなるか?「推理」は簡単だ。何も考えず、見かけだけで判断する「人々」を騙すのだから、それは「簡単」だと言うことになる。答えはア。

7.前半が終了した。「中間チェック」として問6を見る。我々の「お任せ」体質が及ぼす「弊害」について述べてあった。したがってアは×である。本文に「テレビや新聞、そして今やインターネットから」とあるように「テレビや新聞➔インターネット」という情報を得る場の変遷は書かれているが、選択肢イのような「家庭➔学校」「地域➔インターネット社会」という変化は書かれていない。したがってこれもここで×。ウの判断はここではできない。エはどうか。即×である。「情報を比較」しないから「お任せ」なのである。オは5段落の内容。つまり前半の最後にあった。〇。

8.後半も前半と同じように「攻め」の姿勢を崩さない。問2 空欄Ⅲ 「一文」で捉えると「つまり」があり、前段落がヒントになることが分かる。しかも『「お任せ」がはびこると』どうなるかということが書かれた文であることは明らかなので、空欄をそれらから「推理」する。前段落に「家庭ですべき躾や日常生活~増えているようになのだ」(33行目)とあるように、親は家ですべき教育も学校「任せ」で、何でも押し付けてしまうということなので、空欄は「(自分の責任を)果たさずに」くらいの意味になる。これに合うのはウ。

9.問4 「一文」にすると「その一例」とあるので「その」を見ると「道徳的な価値観を~傾向もある」が目に入る。つまり、道徳的な価値観を学ぶのに、科学を使うと受け入れられやすいということなのだが、この点についての説明が47行目以降に書いてある。要するに道徳的意識を教えるのに「道徳」をそのまま使ってもなかなか子どもは受け入れないが、科学をその代行として使うと、子どもはその内容を信じたりするということだ。この「コア」を持つのはウしかない。イにした人も多いかもしれないが、良く見て欲しい。イだと道徳的内容や価値観を「科学的」に「説明する」という意味になってしまう。そもそも「水からの伝言」などは㊟を見れば分かるように道徳の科学的説明ではない。したがって、我々が選ぶべき選択肢は、「道徳的内容」を「科学的に説明する」というものではなく、例えば、子どもに道徳、つまり「善し悪し」を教える際に「昔話」や「諺」を使っても効果がないから、あたかも「科学」のようなお話を「代わりに」するという意味を持ったものである。繰り返すが、こういう内容を持つものはウしかない。

10.問5 空欄Ⅳ 傍線部+指示語の公式とS-Pを押さえる。もちろん「一文」にする。「横着」=Sの説明である。空欄を含むPの内容を求めて、直後の「このこと」以下を見る(傍線部+指示語)。「疑似科学が入り込む余地を大きくしている」とある。これはこれまでの内容でどういう意味になるか。簡単だ。今まで見てきたように「お任せ」体質だから疑似科学が入り込む余地を与えてしまのだ。お任せ意識が高いということはこれまでの内容からも分かるように「自分で考えることをしない」「見かけだけで判断」「当事者意識が希薄」ということを意味する。これをコアとするとアの「結果を考えなくなる」がOK。「科学とも縁遠くなる」は傍線部+指示語以下の「疑似科学が入り込む」を見れば分かる。イ~オは全て+イメージで表現されており、これらだと「代行技術」の発達の及ぼす「弊害」という、筆者の扱っているテーマを表現していないことになる。

11.いちおう最後に確認。問6のウ。人々の道徳心が向上するということは書かれていない。やはり×。したがって前半で確認したとおり、オが正解となる。

【解答】問1 Aウ Bオ (3点×2) 問2 Ⅰイ Ⅱア Ⅲウ (4点×3) 問3 イ(8点) 問4 ウ(8点)

     問5 ア(8点) 問6 オ(8点)

【コメント】今回の問題で35点以上取れていない人➔かなりヤバいので1学期から「青木の現代文」で毎週勉強のこと!!➔http://www.yozemi.ac.jp/les/1gakki/digitalcatalog.html デジタルカタログ「単科ゼミ」編参照のこと!!

2014無料公開講義『毎度!青木だ!Ⅲ』解答と解説

【イメージチャート】

(中略)この考え方からすると、言葉を獲得したとき、人類は与えられた刺激や刺激群に直接反応するのではなく、その刺激群を〈物〉として対象化することができるようになる。{そして、それと同時に、単なる生物学的〈環境〉に埋没して生きるのではなく、さまざまなシンボルからなる〈世界〉に開かれて生きることになる。}

【解説&解答】

1.まず{ }を一文として捉え『何の話を「この部分」でしているのか』を考える。

2.1のために「それと同時に」の「それ」を明らかにする。

3.「それ」=〇人間が言葉を獲得➔(動物のように本能に基づいて環境を感覚で捉えることで、そこから受ける)刺激や刺激群に直接反応するだけではなくなる➔(周囲の環境及びそこから与えられる)刺激群を〈物〉として対象化(=自分の周りに存在する(自分にとって一定の意味を持った)ものとして捉えること)できるようになる。

4.3からこの{ }内が「人間が言葉を獲得し、それによって周りを対象化し、捉えることで動物とは違った世界に生きる」という意味になる。

5.「動物とは違った世界に生きる」といっても、「違った場所に住む」ということではない。

6.なぜなら「言葉を獲得する」ということで「違う場所に移動する」という意味にはならないからだ(当たり前)。

7.ではどういうことか➔人間:環境を言葉で捉える VS 動物:環境を自らの感覚で捉える(のみ)

8.つまり解答の「コア」としては「人間が言葉を獲得し、それによって環境を捉えることで、動物の住む〈環境〉異なった人間独自の意味を付与された(=対象化された)〈世界〉の中で生きることになる」というように考える。

9.8の「コア」に合う選択肢を探すと、二しかない。

10.イはそもそも「人間が言葉を獲得した後の世界」を説明していない。ロは「象徴」についての説明。無関係。ハ人間が生きている世界が、全て「現実からかけ離れた世界」なわけがない(笑)笑うしかない選択肢。