2014第2学期『現代文読解』第1講河合雅雄「森林がサルを生んだ」要約&記述解答例&漢字&復習問題

【要約】

開発途上国の文化汚染状況だけでなく、先進国の文化爛熟と病弊の進行を見るにつけても、今こそ文化とか文明と言われるものが、人間にとって何なのかということを本気で考える必要性がある。そのためには社会進化と文化の不可分な関係を、動物社会における具体的な文化現象の把握によって、明らかにしていかなければならない。そもそも文化とは、善と悪の両面を兼ね揃えたものであるが、動物世界は、善という全肯定の世界である。そこから悪は、文化という培地によって人間が創造したものであることがわかる。人間は、霊長類の頃から、他の哺乳類にはない、独自の特性を持っていたが、これは捕食圧をほとんど受けない恵まれた環境の中で進化してきたことによるものである。食物連鎖という生態学的法則の拘束を受けないために、霊長類は人口の自己調整や攻撃性の抑制機構を独自な方式で編み出す必要に迫られた。つまり、自分たちの世界に食う食われる関係を作り上げたのだが、それは同時に元来第一次消費者として草食獣である霊長類が、同時に肉食獣的性質を内包することになったことを意味する。そしてこれは人類においては、その草食獣的性質が善の範疇に入る特性になり、肉食獣的性質が悪の範疇に入る行動を創造することになったのである。

 

 

【問3】

(a)摂取 (b)病弊 (c)分岐

 

 

【問7】

(解答例1)自然的存在からはみだしてしまったから。

(解答例2)生物なのに自然的存在から外れているから。

 

 

【問10】

(解答例1)食う食われる関係を作り、草食獣的性質と共に肉食獣的性質を内包する二面性を持った。

(解答例2)人間の善にあたる草食獣的性質と悪にあたる肉食獣的性質という二面性を持った。

 

 

【復習問題】この文章を一言で述べると、次のどの内容が最も適当か。一つ選べ。(㊟解答は最下段)

➀捕食圧を受けなかった哺乳類の突然変異

➁霊長類の肉食獣的性質と草食獣的性質

➂人間の創造した文化の悪の側面の源流

➃文化と文明の爛熟期から見える人間の未来

➄人間の計り知れない闘争性と権勢欲とその本質

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】➂