2014第1学期『青木邦容の現代文』第2講(設問番号は3)滝浦静雄「時間―その哲学的考察―」復習問題

【復習問題】 次の要約文を読んで、後の問に答えよ。㊟解答は最下段。

 われわれの日常的な経験からすれば、時間の流れ方には違いがあるように感じられるが、それは( A )な感じ方に過ぎず、本当の客観的時間は、時代や場所を越えた( B )なもののはずである。常識から言ってみても、時間は全宇宙的な普遍の流れを持つものであり、また不可逆なものである。ニュートンはそのことについて、常識的時間の各部分の順序は不変でなければならないとしたが、このような( C )こそが、われわれの人生において時間が重視される理由であり、それは人生の重大事が〈取り返しの付かないことがら〉として、時間的問題を含むことからも理解できる。ハイデガーは「死」を、実存の( D )としての「終末」としたが、彼の、「死」を「現存在が絶対に不可能になることの可能性」として「最も極限的な可能性」と呼ぶ考えの前提にも、時間の不可逆性が前提されていた。したがって時間は様々な事物の運動や生成・消滅など、一般に変化と呼ばれるものの原理でなければならない側面を持つ。時間が物のような形で他の物に働きかけることはあり得ないが、われわれは少なくとも時間を介さずに変化を考えることはできない。この世の全ては「無常」であるが、やはりこのように言われるのも、時間があらゆるものを変化させていく原理だという考えが背景にあるからである。

 問1      空欄A~D入る言葉をテキストから抜き出して書け。

 問2      傍線部「最も極限的な可能性」を説明したものとして適当なものを次の中から選べ。

        ①    人間が選択できる様々な可能性のうち、人間にとって最も重大時である「可能性」。

        ②    人間にとって数ある中から選ばれた、他の可能性と比べて、最高の価値を有する「可能性」。

        ③    人間がそれ以上の可能性を、その先に選択することを許されていない「可能性」。

        ④    人間にとっての可能性の連鎖の一つであり、人間の存在を可能にしている根本的な「可能性」。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

問1

A 主観的

B 絶対的

C 不可逆性

D 存在可能性

問2