2014第1学期『現代文読解』第10講(問題番号は9)内山節「挫折と危機のなかで」復習問題&(詳しい)要約&漢字解答

【要約】

アイルランド人を「貧しい」暮らしに甘じんているとして、彼らにお金を儲ける楽しさを教えなければならないと考えた経済学者ウィリアム・ペティの、民衆の精神の「変革」という発想は、マックス・ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理」や、トクヴィルの語ったアメリカの開拓民の精神と並んで、近代的世界の幕開けを準備したものである。伝統社会の労働は、楽しみや喜びと同意であったが、金儲けの楽しさを覚えた近代の労働は、単なる手段と化した。人間が金儲けの楽しさを覚えた社会では、このように「金儲け」のために生活する人々が生み出され、労働や生活それ自体が楽しみであった時代は去り、労働は単なる金儲けの手段になり、生活は疲れを取るための消費の場と化した。サブプライムローン問題にも象徴的に表れているが、現代社会ではすべてのものが市場の手段、道具にされて使い捨てられていく。これが金儲けの楽しみを覚えた社会の末路とも言える。伝統社会では生産と労働は一つのものだったが、近代的な労働では、それらは乖離している。その状況下では労働は剰余価値を作り出す手段でしかない。つまり人々は有用性を作り出すためではなく、単に賃金を得て生活するためだけに労働するのである。手段化された労働は必要なくなれば切り捨てられる。そこにはもはや伝統社会における労働に誇りを持ち、自分の労働が尊重されることを喜びとした精神は存在する余地はないのである。

 【問1】

 ア 中葉 イ 培 ウ 抹殺 エ 顕在

 

【復習問題】

講義を参考に(  )に入る語句を考えよ。五字以内。(解答は最下段)

生産物からの疎外が起こるのは、労働が自由な活動ではなく強制された苦役として無理やりやらされる(     )に陥っているからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

労働疎外