2014年夏期講習会「青木邦容の現代文」第2講要約&復習問題

【要約】

 過去のある時代の考え方が現代のそれと違うからといって、直ちにそれを誤っているとか遅れているとかいうことが出来ないという真理は、「装飾」にも当てはまる。現代では装飾は、「色彩や線条などで建築や工芸品を美化すること」と説明されるが、近代以前までは、装飾の目的は美化ではなく、死者の冥福や祓禊を願うような宗教的な意味内容を含めることにあった。そもそも「美」という文字自体も、昔は宗教的な意味内容を持っていたが、近代に入り人間の宗教感情が希薄化するにつれて、その観念も単なる感覚的な意味しか持たなくなったという背景を持つ。そうした意味では「美化」の意味も現代とは大きく異なっていた。宗教的意味でのこうした装飾=美化は、現代の感覚的領域に止まるそれとは異なり、色彩や形の持つ意味内容こそが重要であった。それが美しいのはあくまでもその結果であり、現代のように意識されて形作られるものではない。またそうした装飾文様は、時代あるいは地域または部族の共通言語であるがゆえに、変化し乱れることも少ない。

 

 

【復習問題1】(㊟解答は最下段)

【復習問題】70行目「装飾文様はそう変化せず乱れもしない」とあるが、「装飾文様」が変化したり乱れたりしてはならない理由はどこにあるか。次の文に当てはまる言葉を下記の選択肢の中から選べ。

 

 近代以前までは人間の( A )感情が、現代のように稀薄ではなく、人々の精神の拠り所が( A )にあり、深い信仰を基に時代や地域、部族の集団の( B )が保たれていたため、互いが同じ集団に属し、同じ( C )を持つ仲間だと意識するための( D )の役割を装飾文様が果たしていたから。

 

①  コード ② グラマー ③宗教 ④混沌 ⑤ルール ➅ 支配 ⑦秩序 ⑧信仰 ⑨信条 ⑩友情

 

【復習問題2】(㊟解答は最下段)

本文69~70行目に「装飾文様」は「共通の言語だからこそ」変化しないし、乱れもしないとあるが、どうして「共通の言語」だと、「変化」せず「乱れ」もしないのか。その理由として次の中から適切な選択肢を一つ選べ。

①  過去の造形言語の大部分は、現代のそれとは異なり具象性が強く、ある一定の時代や地域、集団内の構成員にとって誤解のしようがないものだから。

②  非近代社会の造形言語は、感覚的、恣意的に構成されたものではないため、ある集団の構成員が、それを使用するためには、きまりを学ばねばならないから。

③  非近代社会の装飾文様の使用目的は、言語のように意味を持たせることであり、その意味を言語共同体の構成員が共有するには、きまりや約束に準じた使用が必須だから。

④  過去装飾文様は、時代的に地域的に少しずつ変化はするが、本質的には恣意的に発案されたものではないため、個々人が変化させようとしても失敗するから。

⑤  非近代社会は、近代社会のような個人の自由が認められていなかったため、集団内の構成員は決まりや約束に従うことを強制されていたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

1  A ③ B ⑦ C ⑧ D ①

2 ③