2014年夏期講習会「青木邦容の《ハイレベル》現代文」第5講要約&復習問題

【要約】

浅野内匠頭の辞世の句は、死に追いやられた自分を風に散らされる花に見立てているが、読者がこの歌に「この世に未練が残る」内匠頭の胸中を深く思い遣るのは、風に散る花への見立てによる効果とは言い難い。むしろ《忠臣蔵事件》というコンテクストやこれが辞世の句という知識によって、読者は作者の心を思い遣って感動するのであり、「花」の語は、むしろ感動の元になっている〈死〉という事柄の強烈さを曖昧にしてもいる。しかしこの歌を、言い回しに何のレトリックも使っていない、同じく辞世の句である在原業平の歌と比べると、業平の歌の方にぎこちなさや歌らしくないものを感じる。内匠頭の歌の方は、歌らしい洗練された感じを持つが、それは花への見立てによるものである。歌は「ただの詞」とは異なり、その言葉がそれ自体一つの《姿》を持つモノとして私たちの前に現れる。見立ては単なる認識の手段ではなく、歌を歌として成立させている《言い回し》つまり、《姿》のためのものであり、ここから和歌の本意とは、言葉が表わす意味や内容ではなく、言葉の形であることがわかる。

 

 

【復習問題】

本文68行目「意識が~向かってしまう」とあるが、筆者はこれを「和歌の本意」ではないと説明している。どうしてそのように考えるのか。その理由にあたる内容を持った箇所の最初の5文字と最後の5文字を抜き出せ(句読点を含む)。(㊟解答は最下段)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】

歌はまず言~すぎない。