2013第1学期『青木邦容の現代文』第7講分 多木浩二『生きられた家』要約

《要約》

日本の家は、象徴的なしぐさによって意味の次元でその様相を変えている点で、実体としては希薄であっても意味に浸透されていると言える。この希薄化は、日本の家では空間と物の結びつきが全く一時的な現象で、物があらわれたり、消えたりするという性格に見られるが、それらの物は部屋に生じる出来事を変えるという意味で、機能性と象徴性を兼ねそろえている。日本の家は、そうした物の登場によって空間の意味が決定されるという意味で、出来事(使用)の空間であり、物にこころがあるという日本伝来の考え方も、こうした空間や場面全体を変える契機となる物の性格や物と生活の関係から生じてきたのであろう。